ありえないPR企画との出会い
こんにちは、吉川ばんびです。
皆さんは、「長野県上伊那郡」にある、「辰野町(たつのまち)」という場所をご存知でしょうか。
お恥ずかしながら私は、今年の8月末に初めて知りました。
そのきっかけとなったのが、こちらの、辰野町のPR企画。
どうですか? 意味がわかりませんか?
私も意味がわかりませんでした。
もう少し詳しく内容をご紹介しましょう。
~PR企画概要~
本州中央の山岳地帯、まさに日本の「ヘソ」ともいえる奥地にその大秘境は存在した。
今回ヨッピー&柿次郎隊長がターゲットにしたのは、秘境に生息する謎の猛毒昆虫だ。
この地に暮らす原住民に話を聞くとその名を「スガレ」と言うとの情報を得た。
なんと彼らは普段の生活の中てで、この猛毒昆虫を追い、収穫することもあるという。
ヨッピー&柿次郎隊長率いる探検隊は、
原住民の案内のもと、謎の昆虫を収穫しようとするが・・・。
※辰野町のPRサイトより引用
そうです。
要するに、『謎の猛毒昆虫「スガレ」を追う探検隊を結成し、その様子を辰野町のPR動画にしよう。』という趣旨のまちおこし企画だったのです。
ちなみに、ヨッピーさんと柿次郎さんというのは、WEBライター業界では超が付くほどの有名人だと言えるでしょう。
私もお二人のファンではあるものの、さすがに猛毒昆虫と戦うというのは・・・
虫嫌いの私にとって、この企画に隊員として参加するのはちょっと・・・
・・・
・・・
ベージュのつなぎを着て左に立っているのが柿次郎さん。右に立つのがヨッピーさん。青いつなぎは公募により集まった隊員たち。
というわけで、勢いだけで参加してきました。
よろしくお願いします。
やはりライターたるもの、好奇心を持ってさまざまなことに挑戦していく姿勢が重要ですからね。
現地のスタッフの方々に「なんで虫嫌いなのに応募してきたの?」って聞かれましたが、自分でもわかりません。
「逆になんで『虫嫌い』って言ってる奴のこと選んだの?」と聞いてみたところ、「エヘヘッ(笑)」という含み笑いが返ってきました。なんなんだ。
今回の記事では、「辰野探検隊」での過酷な試練や、みなさんの知らない「辰野町の魅力」を伝えられたらと思います。
辰野町ってどんなところ?
辰野町は、長野県の中部に位置する、人口約2万人ほどの町です。
自然豊かな風景が広がっており、東京や名古屋からも電車で2~3時間というアクセスの良さ。
現地の方のお話によると、湿度は東京や大阪と比べると、年中30%近くも低いらしく、夏でも空気がカラッとして気持ちがいいとのことです。
実際に私も大阪から辰野町へ向かったのですが、到着したとき、まず空気のおいしさに驚きました。
また、緑が非常に多く、「のんびりしたいい町だなぁ」という印象がとても強かったです。
あまりの心地よさに、プライベートで来ていたら絶対にあたりを散歩していたところですが、「猛毒昆虫を収穫する」という地獄のような任務があったため、辰野町役場へ車で急行することになりました。残念。
辰野町役場
また、辰野町は「ホタルの名所」でもあり、夏場にはゲンジボタルの群れの美しさに圧倒されるほどなんだとか。
辰野町のホタルの舞(画像提供:辰野町役場)
惜しくも今年はその時期を逃してしまったので、来年こそは絶対に見に行こう・・・
いざ、秘境(山)の中へ
辰野町役場からまずは「大城山」へ移動し、さっそく「スガレ」の探索を開始。
ヨッピー隊長・柿次郎隊長を先頭に、5人の隊員があとに続きます。
「なんで猛毒の昆虫をわざわざ探すんだ」という疑問は持っていても仕方がないので、ひとまずは感情を殺すことで事なきを得ました。
「結構傾斜がきつい・・・」
「顔が蒸れる・・・」
「何で覆面の人がいるの」
「こわい」
「ムービースター隊員はただのヤバイ覆面プロレスラーだから大丈夫」
探索する場所は山というより、ジャングルに近い。生い茂った豊かな木や草をかきわけながら進む。
この日の前日は雨が降っていたため、地面が少しぬかるんで、一歩一歩が重たく感じます。
途中、鉄塔があったので登ってみたところ、辰野町を一望できるほどの絶景を見ることができました!
テンションが上がりすぎて記念撮影とかしていたので、標高の高さはちょっとわかりません。すみません。
ただ、空気が澄み切っており、深呼吸してみると本当に気持ちがよかったので、ハイキングにもオススメです。とくに、ちょうど撮影日(10月初旬)くらいの秋の晴れた日が一番気持ちがいいかもしれません。
私は今回、茂みの中を猛ダッシュして派手に転んで泥だらけになるなどして最悪だったので、次回は探検隊以外で優雅に訪れようと思います。
スガレ追いの名人との出会い
道なき道をザクザク踏み進めていくと、視界が開けた場所に出て、おそらく地元の方と思われるおじいさんたちに出くわしました。
話を聞いてみると、なんと私たちと同じく「スガレを探しにきた」とのこと! しかも、彼らは何十年もスガレを追っている名人たちでした!!
なんでも、スガレの巣はこのあたりで高値で売れるということもあり、たくさんの人がスガレ探しをしにくるんだとか。
隊員でありながら「誰が猛毒の昆虫をわざわざ探しにくるねん」と思っていた私たちにとって、この事実は驚きでした。
そんなに価値があるものだったのかスガレ。早い者勝ちだったのかスガレ。猛毒なのに人気者じゃないかスガレ。お前の正体は何者なんだスガレ。
そしてスガレビギナーの私たち辰野探検隊は、名人にすり寄ってスガレ捕獲に同行させてもらうことに。もうこれ無敵じゃんな??
「これはなんですか?」
「スガレをおびき寄せるエサだね。今回はイカの刺身だけど、肉とかでも喜ぶぞ~」
「ええ・・・! スガレをおびき寄せて、どうやって巣を探すんですか?」
「エサを持ったら巣のあるほうに飛んで帰っていくから、スガレに目印をつけて」
「目印をつけて」
「みんなで全力ダッシュで追いかけるの」
「楽しそう」
スガレ追いスタート
今回の作戦は以下の通り。
・エサに寄ってきたスガレに名人が目印の「こより」を結ぶ
・スガレが巣に向かって飛ぶので、探検隊が目印を頼りに追いかける
作戦がシンプルすぎて若干の不安は残るものの、いざスガレ捕獲作戦スタート!
エサを吊るして間もなく、スガレがやってきた。早い!!
「ほれほれ、スガレが飛んだぞ~」
「え? あっ、いた!」
「追えー! 追えー!」
「ギャー!!」
見失った・・・。
スガレ、飛ぶのめっちゃ速い。あと、1センチちょっとくらいの体長しかないので、目印が付いているとは言え、山の中では見失いやすい。
「さっきのスガレがエサを運んで巣から戻ってきたぞ。もう一回飛ばすぞ~」
「え? あー! いた!!」
「いけー! 追えー!」
「ギャーこっち来た!!」
~ 繰り返すこと10回ほど ~
「スガレの巣があったぞー!! 集合ー!!」
ようやく巣を発見! スガレが飛んでいく方向を地道に追いかけて、ようやく巣の位置を特定できました。
名人クラスでも、全力で追いかけるあまり、思いっきり転ぶことがあるそうな。
巣の採掘作業
「いきなり掘るとめっちゃ刺されるから、煙幕を使ってスガレを気絶させて、その隙に巣を掘り起こすぞ」
「顔の周りをスガレがブンブン飛んでるんだけど、大丈夫なの? これ・・・」
「もし刺されたらどうなりますか? 名人」
「ヤバイ」
「やっぱヤバイんだ」
そうこう言っている間に、名人、ひるむことなく煙幕に着火!!
スガレが煙で気絶しているあいだに、何層にも重なっている巣を掘り出していきます。
外を飛び回っていたスガレたちが異変に気付き、ものすごい羽音を立てながら集まってきたため、急いで撤収。
とれた巣は全部で10層ほど! ちなみに、今回採れた巣はかなりの大物だとのこと。
食す
「で、これどうするんですか?」
「食うよ」
「えっ」
「これ?」
「うん」
「隊長、吉川隊員がいません」
「あいつマジで逃げやがったな!!」
車の陰に隠れてたら普通に捕まった。なんでバレたんだろう。
みんな、ピンセットで取り出した幼虫を生で食べてました。クリーミーとか言ってた。ちょっと理解ができない。
生のままどうしても食べたくなくて泣いてたら、名人がバター炒めにしてくれました。名人優しい。
熱でたんぱく質が固まるためか、フライパンから「キュ~」という断末魔のような音が聞こえてきて、あたりに立ち込めるバターのいい香りとのギャップにパニックになりました。
私が全力で駄々をこねてから観念して食べるまでのくだりは長かったので割愛しますが、食べてみた感想は、「意外とおいしい」です。
バターの香りがついているので、意外と抵抗なく噛むことができました。「アーモンドっぽい味がしておいしい」なんて声も。
名人が作った「スガレの子の佃煮」。これが一番おいしかった!
ちなみに地元の人たちによると、スガレの子は栄養満点で、貴重なタンパク源なんだそう。
「美肌になるよ! いいよ~綺麗だよ~!」とか言われながら食べました。全然励まされない。
辰野町の見所
今回の企画はほとんどの内容が「スガレ追い」だったものの、道中に立ち寄ることができた場所だけでも、辰野町にはたくさんの魅力的なスポットがありました。
私が実際に訪れることができた場所だけですが、いくつかご紹介したいと思います。
大城山展望台
大城山展望台からの景色。
こうして見ると、辰野町の緑の多さがよくわかります。山道を登って疲れ果てた体に当たる風が、ものすごく気持ちがよかった!
ヨッピー隊長と辰野町。
たつの海
「長野県に海!?」と思った方も多いでしょう。
正確に言うと海ではなく「ため池」になるのですが、あまりに広いので、「たつの海」と呼ばれ親しまれているそうです。
また、2010年には農林水産省の「ため池百選」に選定されており、春には桜の名所としてたくさんの人が訪れるなど、地域の方から愛されているスポットです。
桜の季節のたつの海(画像提供:辰野町役場)
夕暮れに訪れたたつの海は、とても心が穏やかになる美しい景色でした。
ちなみに、親水地域では白鳥と鴨が泳いでいました。
温泉スタンド
温泉スタンド!?
ガソリンスタンドならぬ温泉スタンドは、硬貨を入れると天然温泉が出てくる仕様! すごい!
それにしても、10円で温泉20リットルって、ちょっと破格すぎませんか?
源泉名は、「たつの荒神山温泉」。ナトリウムが含まれているらしく、入浴後はお肌がスベスベになるそうです。
せっかくなので、あらかじめ用意しておいたドラム缶で入浴してもらいました。
「いや~・・・気持ちええ~・・・」
「銭湯神」と呼ばれるほどお風呂が大好きなヨッピー隊長も、たまらずこの表情でした。
一度は訪れてほしい町、辰野町
ほたる童謡公園(画像提供:辰野町役場)
いかがだったでしょうか?
辰野町の魅力が少しでも伝わったでしょうか。
辰野町には緑があるし、昔ながらの文化が根付いているし、何より、地域をPRするためにこんなに面白い企画を立ち上げて、全力で実行してくれるような人たちがいます。
都会に住んでいると「地方創生」と言われてもピンと来ませんが、実際にこのような形で地域の魅力を伝える企画に参加してみると、「みんなでまちをつくる」ということの楽しさを肌で感じることができると思います。
地域を盛り上げようとする辰野町の方たちのパワーがすごくて、本当にびっくりした! 生きていく活力をもらえたような気がします。
長野県には、大阪や東京から移住してくる人が多いそうですが、今回の訪問で、「なるほど」とつい納得してしまいました。実際、私も真剣に長野へ移住することを検討しています。
それくらい最高だったんですよ・・・。
みなさんも、一度は訪れてみてはどうでしょうか。
気になるスガレの正体とは
「結局、スガレの正体ってなんなの?」
と気になって仕方がないあなた。
・・・まだあえて教えません!
なぜなら、12月に公開されるWEBムービーのネタバレになるからです!!!
なんとなくもう正体が分かっている人が多いとは思いますが、念には念を入れて、ネタバレを防がないといけませんからね。ね!
近々、今回の記事の内容をよりダイナミックに楽しんでいただける映像がアップされますので、どうぞチェックしてみてください!!
(辰野探検隊HP、もしくは吉川ばんびTwitterなどで情報がシェアされると思われます。)
参照元:辰野探検隊HP
撮影:edamame.編集部、徳谷柿次郎氏