これ以上愛犬を苦しめたくない…
犬や動物を飼った経験のある方ならば、自分のペットが死に向かって弱ったり、苦しんだりすることの辛さが分かるだろう。
早く人間の手で苦しみから逃れさせてあげた方がいいのか…。それとも、苦しみながらでも生かせてあげたほうがいいのか…。
ニュージャージー州に住むケリー・レヴィさんは、15年間飼っていた愛犬シーザー君を安楽死させるという苦しい決断を下した。
Vet Tech Charged with #AnimalCruelty After Keeping Dog Said to Have Been Euthanized https://t.co/sw0NOr2GGw pic.twitter.com/KScAVrE1bi
— Dog Couture Country (@Dogcouturecntry) 2017年11月2日
シーザー君はクッシング病という病気にかかって苦しんでおり、獣医師からも安楽死を勧められていたのである。
きっと15年間も連れ添った愛犬と別れるのは辛いことだっただろう。しかし、彼女は、これ以上シーザー君を苦しめたくなかったのである。
動物病院に192ドルを支払い、火葬をとり行った。病院から「最期は穏やかでした」という知らせも受け、シーザー君と永遠のお別れを果たしたのであった。
5ヵ月後 匿名「シーザー君はまだ生きてます」
そんな悲しいお別れをした5ヵ月後、ケリーさんの元に1本の電話が匿名でかかって来た。
そして、その電話をとってみると驚くべきことが告げられた。
なんと、シーザー君はまだ生きており、動物病院のスタッフ(獣医ではないが獣医療行為の一部を担う者)が自宅で世話をしているというのだ!
これにはケリーさんも驚きを隠せず、すぐに警察と動物虐待防止協会に相談をした。
そうして調査の結果、獣医師(すでに退職)は、安楽死を行わなかったことと、スタッフがシーザー君を自宅に連れて帰ることを許可したと認めたのだった・・・!
スタッフがシーザー君に対し「何とか健康状態を取り戻したかった」と思ったと言うのだが、結果的にその行為は裏目に出た。シーザー君はかなり痩せて、治療の痕跡も見られなかったそう。
飼い主であったケリーさんの「一刻も早く楽になってほしい」という願いは届かず、5ヶ月間も長く苦しめられていたのである。
ケリーさんたち一家は、やせ細り、弱りきったシーザー君との再開を果たした。しかし、これ以上彼を苦しめるわけにはいかないと、わずか1時間後には二度目の本当のお別れをしなければならなかった。
2度も同じ別れを告げなければならなかったケリーさんたちは、辛かったに違いないだろう。
また、獣医やそのスタッフには、盗難と動物残虐行為の可能性があるとして、調査が進められている。
安楽死は難しい問題
今回の事件は、両者の気持ちのみを考えると、なんとも複雑な事件である。
安楽死を決断した飼い主の気持ちも分かれば、「殺したくない」と思ってしまったスタッフの気持ちも分かる。
しかし、苦しみながらも「愛犬を苦しめたくない」という思いを貫いて、安楽死を決心した飼い主にとっては悲しすぎる事件だった。
シーザー君がやっと苦しみから逃れられて、喜んでいますように。
参照元:nj.com