アリ「コ…コロシテ…コロシテ…」
自然界には恐ろしい生き物がたくさん存在しているが、中でも他動物を支配し寄生する種類はかなり厄介である。
例えば、ロイコクロリディウムという寄生虫は、カタツムリの触覚に寄生し、先端をイモムシに擬態してカラスに食べられるように仕向ける習性を持つ。(寄生した写真は多いが、尋常じゃなくグロいので注意)
このように、他生物を支配する恐ろしい寄生体は数知れず。そんな中、アリの筋肉に寄生し、ゾンビ化させる寄生菌が話題になっている!!
下の動画にそのゾンビ化したアリの様子が映し出されている。グロ注意!!
寄生キノコのターゲットとなっているのは、熱帯雨林に生息しているオオアリの一種。
キノコが寄生すると、不運なアリたちは群れから離れウロウロと歩き回り、枝や茎の下部にかじりつきながら死を遂げる。その後、死んだアリの頭部を突き破り、芽のような胞子を出す茎が現れるのだ。
芽から胞子が放出されると、また近くにいた不運なアリに寄生し、支配するのである。
長年にわたってそのメカニズムは不明なままだったが、先日、ペンシルベニア州立大学の研究で、菌は脳には存在せず、筋肉にのみ大量に寄生していることが発覚したのだ。
脳だけ生きていて、筋肉に寄生されている・・・――つまり、「か・・体が勝手に動く・・・!俺の意識があるうちに・・・早く殺してくれ・・・ッ!」みたいな状態だったわけである。
最新技術で明らかになった寄生のメカニズム
▲仲間の死体を巣穴に運ぶアリ
この研究結果を発表したデイビット・ヒューズ博士は、寄生されたアリの標本をスキャンし、3Dモデル化。更に、人工知能により画像を解析し調査を行った。
すると、寄生虫はアリの全身に広がっていたが、脳だけは手つかずの状態だったことがわかった。それまで脳に寄生していると信じられていたため、研究者に大きな衝撃を与えた。
更に博士は、脳を無傷にしておく理由を、死の直前に他の仲間のところへ行こうとする習性を菌が利用している可能性があると推測されている。
他のアリが多くいる場所で宿主のアリを死なせ、そこで芽を伸ばし、胞子をばら撒く・・・ということである。
時折地面を見ると、死んだアリを運んでいる様子が見ることができるが、アリは死んだ仲間を巣の奥に運び入れ埋葬する習性があるといわれている。寄生菌はこの行動原理を学習して生き延びているらしい。
よって博士は論文で、「単に脳組織を破壊するだけでは、こんなことは不可能だろうと思います。」と述べている。半殺しの状態でアリに苦しみを与え続け、最終的に凄惨な死を与える…鬼畜にも程がある菌である。
博士はこの研究を通し、菌性の病気や予防医学などに生かせるかもしれない、と述べている。遺伝学的に人と菌類は植物と菌類よりも共通点が多く、人間の死因になるものは菌類にとっても死因になる可能性が高いためだ。
・・・・この菌が人間を新たな宿主に選ばないことを願うばかりである。バイオハザードのような世界が現実になるとしたら、発端はこの菌かもしれないな~。