露出狂(ろしゅつきょう)。
それは一見、平和な街に潜むモンスター。
おもに、女性を見つけると局部をポロンポロンと出してしまうおじさんである。
私(吉川ばんび)も、何度か露出狂に遭遇したことがある。
今思い返せば、彼らが出現した場所のほとんどは、学校の近くだった。
寒い朝、登校中の女子生徒の群れを狙って、彼らはやってくる。
だいたい、最初に露出狂を見つけた女子たちのグループがギャアギャアと叫び声をあげ、それに気がついた先生たちがすぐさま駆けつけるのだが、彼らの逃げ足の速さたるや尋常ではない。
怪談「口裂け女」、「ジェットババア」もそうだが、平和を脅かす者たちは、総じて走るのが速い。
実際、露出狂に出会って、彼らが取り押さえられたところを見たことがない。
ーーーーー露出狂とは、なんなのか?
もしかして、妖怪の類なんじゃないか?
そもそも、なぜ彼らは公の場で局部をポロンしてしまうのだろうか。
「若くて、ウブな少女たちの反応を見たいから」だとするのが一般的であろうが、私の祖母(75歳)も先日、夜道を歩いていた際に「奥様、奥様……! 見てください奥様……あのう、奥様……!!」と言いながら局部をさらした露出狂にしつこく後をついてこられたそうなので、私自身としては、その意見について懐疑的である。
ただし、「若くてウブな少女」でなくとも、「反応が見たいから」というのは、おおよそ当たりだろう。
雨にも負けず、風にも負けず、彼らは局部をポロンするためだけに、その反応が見たいがためだけに、じっとターゲットが現れるのを待つのである。
真夏の炎天下でも、雪の降る寒い日でも、彼らは待ち続けるのである。
かといって、露出狂にあって、そのあと、彼らが襲いかかってきたという話は聞いたことがないように思う。
だとすれば、やはり彼らの目的は「見てもらうこと」、ないし「相手の反応を見ること」なのではないか。
しかし、女性というのはタフなもので、年齢を重ねるごとに、露出狂に対しての反応も薄くなっていく傾向にあるといえる。
この手の変質者に慣れてしまった、というのが大部分の理由であるが、さらに、「反応をすれば、露出狂を喜ばせることになる」ことを知っているからである。
私自身も、成人してから出会った露出狂に対しては、すべて「無視」、「一切見ない」という対応を心がけていた。
しかしこのことは、露出狂にとっても由々しき事態なのであろうか、こんな女性の体験談を聞いたことがある。
「道を歩いていたら声をかけられたので振り返ったら、男性が局部を露出して立っていて、尿道にボールペンがゆっくり入っていく様を見せつけられた」というものである。
ーーーーアイデア作戦である。
成人した女性の場合、もはや、普通に局部をポロンするだけでは反応が期待できないため、知能戦が行われはじめたのだ。
実際、この女性は悲鳴をあげながらその場を立ち去ったのだという。
露出狂が、進化している。
そして、男性だけでなく、女性の露出狂も少数ながらいるのだという。
「露出狂=男性」という概念は、今や崩れつつあるのだ。
また、私が小学生の頃、女子生徒に局部を見せつける男子生徒が存在したことを考えると、露出癖は老若男女問わず、持っている者がいるということではないだろうか。
ただし、現代の日本では、公の場で局部を露出することは法律で禁止されている。
そのため、いくら性癖であるといえども、屋外で局部をポロンすることはあってはならない。
というか、歩いていたら突然局部を見せつけられる方の気持ちも考えてくれ。頼むから。
ましてや、まだ幼い少年少女たちに見せつけることなど、トラウマになる可能性もあり、愚の骨頂である。
いろいろ語ってきたが、この手の変質者について、みなさんはどう思われるだろうか?
そして、彼らの暴走を止めるために、今何が必要なのだろうか?
子どもを守る立場にある私たちにとって、これは大きな課題となるのではないか。