デニムは新品派?ヴィンテージ派?
デニムとは身に付けるものの中で最も愛着の湧きやすいものではないかと思う。私は新品で少しタイトなデニムが穿けば穿くほど自分の身体に馴染んでいく感じがとても好きだ。毎日デニムを穿く私だが、ヴィンテージデニムは穿いたことがない。「ヴィンテージ」と聞くとかっこいいと思うが、どうしても新品にこだわってしまうからだ。
しかし、中にはヴィンテージものにただならぬこだわりを見せる人もいる。今回紹介するデニムは新品好きには驚きだが、ヴィンテージ好きには鼻血が出るほど興奮するデニムかもしれない。
『尾道デニムプロジェクト』
広島の尾道にある尾道デニムというデニムショップが「ONOMICHI DENIM PROJECT」(尾道デニムプロジェクト)という面白いプロジェクトを立ち上げた。尾道デニムでは新品のデニムも22,000円~24,000円で販売しているが、このプロジェクトでおすすめされているのは「一点もののヴィンテージデニム」だ。
ヴィンテージデニムが愛されるのは人工的に作った風合いと違う「味」があること。加工した風合いと違う色落ち感や穿きつぶした感がなんともいえず、かっこいい。
尾道デニムプロジェクトの企画者と参加者
プロジェクトの第一弾に参加したのは尾道在住の多種多様な職種につく270名の就労者。
プロジェクト参加者は主に尾道市民。市長をはじめ、住職、農家、漁師、繊維業、大工、左官、大学生、保育士、デザイナー、カフェ店員、ラーメン屋、スウィーツショップ店員、飲食業など、世代を越えた様々なワーカー270人が参加。
一人につき2本のデニムが支給され、1週間ごとに1本を穿く、毎週回収し洗濯、そしてまたもう1本を一週間履くを1年間繰り返す。
回収されたデニムは毎週島根県の専門職人が洗い、状態をチェックする。参加者には何も気にせず穿いてもらうが、洗いや状態のチェックはプロにより入念に行われる。これが尾道デニムプロジェクトのこだわりなのだ。
尾道で働く就労者へのリスペクトが詰まった一本。
尾道デニムはただただヴィンテージなだけでなく、働いている人へのリスペクトも込められているのが圧倒的な魅力になっているのではないかと思う。
ヴィンテージと聞くと「洗っていなくて汚い」と先入観で思ってしまっていたのが正直なところだが、尾道デニムは週に一度プロにより洗われていて、どんなバックグラウンドにより仕上がったデニムなのかも分かるので、セカンドオーナーとしても気持ちよく穿けるデニムだと感じる。いままでヴィンテージを避けてきた私だが、尾道デニムプロジェクトのデニムを見ているとヴィンテージデニムが猛烈に欲しくなるのであった。