こんにちは!edamame.編集部の福井です。
編集部のやぐらーにひったくられそうになっています。
先日、ひったくり防止対策の記事を書いたが、気になったことがあったので、ここに書こうと思う。
気になったのは、大阪府警が発表した数字だ。
大阪府警は、1/18に、2017年度のひったくり件数を646件だったと発表した。
2000年度は1万973件だったので、そこから95%も減少したことになる。
17年間という期間があったとは言え、相当な減少である。
2000年ってそんなにひったくりが起きていたのか!?1日あたり30件も起きている計算になる。
この激減に効果的な対策はいったい何であったのか?
結果的に言うと、ある一つの事が減少につながったのではないようだ。
色々な対策や環境要因が原因ではないかと思われるのだが、込み入っているので、順番にいろいろと角度を変えて見てみよう。
警察庁の犯罪統計は自治体によってデータの取り方が違うのか?
ひったくり対策の効果を調べる前に、そもそもデータの取り方は都道府県で違ったりしないのか?という疑問がある。
大阪に住んでいると、そこまで犯罪起きてるの?というのが、私も含めて、多くの人の実感なのだ。
というわけで、警察庁が公表しているデータをよく見てみたぞ!
警察庁は年度ごとの犯罪件数をまとめた犯罪統計をホームページ上で公表している。
この数字は、先日、大阪府警がひったくり件数を発表したものと同じで、全国の犯罪件数がわかるものだ。
大阪府、東京都、全国のひったくり件数の推移を見てみる。
↑エクセルに数値を入力するという地味な作業をして疲れた!
この表を見ると、大阪だけが減少しているわけではない事が分かる。全国的に減っているのだ。
一時期ネット上やテレビ番組などで、「ひったくり」と「かっぱらい」を分けて計上しているという話があった。よく聞かれたのが、東京では自転車のかごからカバンなどを盗む行為を「かっぱらい」とし、「すり」に計上しているというものだった。
というわけで、2017年の「すり」の件数を見てみよう。
確かに、東京は、全国の45%を占める件数が起きているが、人口比率でみると、大阪とほとんど変わらない。「すり」は人口の多い都会で起こりやすいと想像できる。また「かっぱらい」を「すり」に計上するというのも、今公表されているデータからはうかがえなかった。
また犯罪統計には、「その他」という項目もあったが、大阪2782件、東京2556件と大阪の方が多かったのだ。また、東京だけが突出して多い項目は見受けられなかった。故に、データの取り方の違いによる差は、かつてはあったのかもしれないが、今は無さそうである。
データからは、残念ながらまだ大阪がひったくりワーストなのである。
大阪府警の取り組み
ひったくり防止カバーの無料配布
大阪府警は、毎月11日を「ひったくり防止デー」と定めて、防犯キャンペーンに努めてきた。
ひったくりで特に多い、「自転車の前カゴからカバンを盗み原付で走り去るひったくり」の対策のために、「ひったくり防止カバー」を無料で配布したりした。
【福島署でひったりく・特殊詐欺被害防止キャンペーンの実施】福島署は、阪神電鉄野田駅前広場で大阪商工信用金庫、福島防犯指導員、福島防犯協会、福島区役所、大阪学生防犯ボランティアみっくすと一緒に、大阪商工信用金庫作成のひったくり防止カバーの無料取付等を実施しました。 pic.twitter.com/RaGPpuhQyP
— 大阪府警察防犯情報 (@OPP_seian) 2017年11月10日
各自治体のホームページなどで、無料配布の日が案内されているので、チェックしてつけてもらうといいだろう。
ちなみに、大阪府下の、ひったくり防止カバーの装着率は、女性で40%ほどのようだ。
この取り組みがどれほどの効果をもたらしているかは、数値化できないが、ひったくり対策としてかなり有効と言われている。
犯罪発生マップ
大阪府警のホームページでは、地図上で起こった犯罪を視覚的に確認ができる。
これは、2017年に起こったひったくりの状況だ。市内の地図だが、やはり心斎橋の繁華街(中央区南部)から、浪速区、西成区にかけて多いようだ。ただし、郊外でもまんべんなく起こっている。
しかも、最近のデータは、赤い丸をクリックすると犯行の詳細を確認できる。
自分の住んでいる地域を確認して、1件でも犯罪が起こっていると「ゲゲッ!」となる。これは、府民の防犯意識を高めるいいツールと言えるだろう。
防犯カメラ
大阪府警は、2017年3月までに、783台のカメラを設置している。その他警察以外にも、大阪府が、「街頭犯罪多発地域防犯カメラ設置補助事業」と言うものを行い、街頭犯罪の多発地域に防犯カメラを設置する市町村に補助を行った。
その結果、防犯カメラを増やした駅周辺などの街頭犯罪の減少率は、府全体の減少率を大きく上回り、犯罪抑止に成功している。以下の表を参照。
防犯カメラを設置したA駅、B駅ともに大きく減少している。
ただし、ひったくりがどれぐらい減っているかまでは、効果測定がされていないようだ。街頭犯罪全体の減少に効果があるという事だ。
地域の取り組み
ひったくりのみならず、街頭犯罪防止に効果があると言われているのが、青色防犯パトロール活動だ。
下の写真のような、青いパトランプを着けた車を見たことないだろうか?
大阪府の地域防犯力向上のために、大阪府遊技業協同組合さんから府内自治体に、地域の防犯活動に使用する青色防犯パトロール車両を10台寄贈していただいてんε(o´θ`o)з ぴかぴかの車がめっちゃカッコよかってん!ありがとうございます、やでε(^θ^)з pic.twitter.com/3u6fmRIqvd
— もずやん@大阪府広報担当副知事 (@osakaprefPR) 2016年10月3日
実は、あれは、地域の人がボランティアでパトロールをしているのだ。主に子供を犯罪や交通事故から守ることに役立っているのだが、ひったくり防止にも役立っている。
朝、おじさんが、横断歩道に立っていたりもするが、あの方も青パトの一員だったりするようだ。また、大学生のボランティアもあり、若い方の参加もあるようだ。
街の安全をボランティアで守ってくれるなんて、感謝の言葉しかない。見かけたら挨拶しよう!
2000年と現在の経済状況の差は?
経済状況は、犯罪発生件数と結びつくと言われている。2000年ごろと現在の経済状況はどう違うのだろうか?
【日経平均】
日経平均株価を見てみよう。
まず2000年初頭は、19000円前後だった。しかし、どんどん下がり、12月には13000円台に下落している。平成3次不況が始まったころで、デフレ不況に突入したと言われている。
では、2017年はというと、初頭は19000円台で始まり、そのまま徐々に上昇し、12月には22000台が続いた。仮想通貨元年とも言われ、まるでバブルのような高騰が見られた。
【就職率】
また、就職率で見ると、2000年は、いわゆる就職氷河期という時代にあたる。1993年から2005年までの有効求人倍率は、1を切っている。フリーターや非正規雇用になる者が増加していた時代だ。
2017年は、緩やかに上昇し、10月には1.55倍という高水準に達した。
【失業率】
失業率は、2000年が4.7、2017年が3を切って2.8くらいと低失業率だ。
【実質GDP】
国内総生産(GDP)は、2000年が4兆6670億ドル、2016年が6兆5400億ドルとこちらも現在の方が良いと言える。
日経平均株価、就職率、失業率、実質GDPの4つの数値だけでは、分からない部分も多いが、2000年時点と比較すると、2017年時点の方が経済状況も改善されて言えるのではないだろうか。
まとめ
ひったくり減少にかかわる事項として、他にも「盗品を扱う古物商の摘発」「人口の変動」「組織ぐるみの犯行の減少」などもあるようだ。
ひったくり防止には、これが一番効果がある!とははっきり言えないが、犯罪件数が着実に減少していることは、いいことであるし、警察や自治体、ボランティアの活動が実を結んでいると言っていいだろう。
大阪府は、2017年646件のひったくりが発生していてまだ、ワーストだ。自分や家族が被害に遭う可能性もあるので、そうならないためにも、上に挙げた取り組みに積極的に参加してみてはいかがだろうか?
参照元:大阪府警察、警察庁、大阪府、Twitter1、2、毎日新聞、産経ニュース、日本経済新聞、日経平均プロファイル、Wikipedia1、2、「失業率と犯罪発生率の関係:時系列および都道府県別パネル分析」、総務省統計局、経済産業省、厚生労働省
撮影/表:edamame.編集部