テレビで見たあの人がそっくりだった・・・
家族を失うというのはとても辛い。その人が使っていたものや、座っていた場所などなど・・・あらゆる部分から故人を思い出しては心がちくちくと痛む人もいらっしゃるのではないか。
今回ご紹介するご夫婦もまた、大切にしていた息子を亡くし、長い間胸の痛みに苦しんでいたようだ。そんな中で、とあるテレビ番組を見た時・・・なんと息子にそっくりな男性が目に飛び込んできたのである。更に、驚愕する2人の元には思いがけない幸運が待ち受けていたのだ。
15年前に死んだ息子
さかのぼる事15年前の2003年、北京のある河北省隣の山西省でリャン・チャオインさんとその息子のユーさんは住んでいたというが、ある日不慮の事故が二人を襲った。
事故は凄惨を極め、漏れ出した有毒ガスを吸い込んでしまったことから、息子のユーさんは亡くなってしまい、リャンさん自身にも左半身付随という重い障害が残ってしまった。
リャンさんは事故直後昏睡状態にあり、息子が亡くなったという事実を知らなかった。夫であるシャさんは真実を告げて傷つけることを恐れてしまい、「まだ生きてるよ」「他の都市で働きだしたんだ」というウソを重ね続けていたのだという。
すると2010年、テレビでたまたま放映されていた上海の警察についての番組に、亡くなった息子にそっくりな男性が出ていたのである。
シャさんはこれに驚愕し、なんとか彼に連絡をつけられないかと動き出した。この行動は、奥さんの笑顔をもう一度見たい一心で思いついたのだろう。息子そっくりの男性が1500キロ離れた浦東という場所にいることがわかっても、シャさんは決して諦めなかったのだ。
そこで考えついたのが、”自分もテレビに出る”というものだったのである。
シャさんはまず初めに、山西省にあるテレビ局に向けてアピールを始めたらしい。
テレビ関係者は当初シャさんの声を聞く耳すらもたなかったというが、2010年から3年が経過したその時、遠く離れた浙江省杭州市のテレビ局が遂に反応を示したのだ。そしてとあるリアリティ番組がシャさんの思いを受け止め、上海警察当局の協力のもと息子に似た男性を特定したのである。
遂にご対面
警官の男性の名前はジャンさん。彼はシャさんとリャンさん夫婦についての過去を動画サイトで知り、2人に会うことに同意した。
ジャンさんは、「自分が二人の喪失感や悲しみを癒せるというのなら、これ以上ない幸せだ」とリアリティ番組内で語っていたという。彼の実の母親は当初、二人のためにならないとして反対していたようだが、次第に必要不可欠であることがわかって賛同してくれるようになったのだとか。
その後テレビの司会者はあくまで本物の息子として扱うつもりのようで、山西省の訛りがなくなっているのを「長い間遠くで暮らしていて訛りがなくなったんだ」と説明させたりしていたという。
母親のリャンさんがジャンさんと対面すると、数分間にわたり抱きしめ、泣き出してしまったとの事だ。その後心配が安心へと変わったのか、リャンさんはその晩長い時間眠り込んでしまったそう。
その後はと言うと、ジャンさんは定期的に夫婦に贈り物や電話のやりとりを行っている。彼の存在がリャンさんの心を充たし、性格もどんどん明るくなっているという。
ジャンさんはこの出来事についてこのように語っている。
私は上海、お2人は山西省と遠い街で住んでいますが、私たちの心はいつも共にあります。そして死んでしまった息子さんのためにもなると考えています。私はこの先もお二人のためにこれを続けていきたいと考えています。
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母親のリャンさんはきっと自分の息子が亡くなっているという事実に薄々気づいているはずだ。だが、旦那さんのシャさんの献身的な愛情や、息子とうり二つのジャンさんの優しさで、彼女の心は癒えていることだろう。
これからも幸せに暮らしていけるよう願うばかりである。