月経で描く、生まれることがなかった卵子たちの姿
こんなに衝撃的な絵をみたことがあるだろうか。息をのむとはこのことか…グロテスクな映像が苦手な人は見ないほうがいいかもしれない。
One drop of experiment and I realize the beauty of the pain, the value of the period, fertilizing my whole being. The…
ティミが月経を使って絵を描き始めた理由
The Diary of my Period – Month 5
by Timi Páll
彼女はあるとき毎月来る月経について、気付いたことがあったという。月経による出血は、子宮内膜がはがれたことにより引き起こされる。子宮内膜とは赤ちゃんを育てるためにたくさんの栄養や細胞などを含んだ組織であり、もし妊娠をした場合、子宮内膜は剥がれることはなく出血することはない。
月経が起こる約2週間前、命を宿すために「卵子」が排卵される。しかし、受精することがなければ経血として全て流されてしまうのだ。ティミは命になりえたものが、毎月死んでいることに気付いたのだ。そこで彼女は生まれることなく終わってしまった命をアートにして生かすため、このアートの制作を始めた。彼女は「血」に注目するのではなく「月経の価値」について焦点をあててほしいと言っている。
Start of the End…
– by Timi Páll
– when an "ovum dies" an artwork is born
女性は毎月子どもを授かるチャンスを迎える。しかし妊娠することがなければ、生理がくる。そしてそれを当たり前のようにやり過ごす。本当は命になったかもしれない卵子の命が終わって、流れていることに気付かずに…。生理がくるのは命を育む準備が出来ていたからだということを忘れてはいけない。
アートの名前は「start of the end…(スタート・オブ・ザ・エンド)」直訳すると終わりの始まり。卵子の命は終わったが、アートが生まれた。かなり特殊な使い方だが、ティミなりにこうやって命の大切さや価値を伝えている。それを知ると、この絵の見え方も変わってきたのではないだろうか。
命を育む準備が出来ていることを忘れない。
正直、最初はグロテスクで気持ち悪い絵だと思った。しかし、彼女のいわんとすることを聞くと、命の大切さや毎月生理をむかえられていることの価値を理解できるアートになっているように感じることができた。時として毎月来る生理を疎ましく思ってしまうこともあったが、これからは命を育む準備が出来ていたということを受け止め、当たり前になってしまっていたことにも改めて感謝しようと思うのであった。