タトゥーは医師しか彫ってはいけない?
10月14日 タトゥーイレズミ裁判の公判前整理手続きが行われました。
内容については非公開になってますので、
詳しくお伝えする事はできませんが、弁護団、検察(警察などの行政機関)双方にしっかりとした主張を行なっています。
弁護団の方…
いま日本のタトゥー彫り師が窮地に立たされているのを知っているだろうか。
医師免許を持たない者がアートメイク(眉や瞼に色素を入れる美容技術)を施した結果、健康被害が出たことがきっかけになり、タトゥーも針先に色素を付けて皮膚に着色することから「医師しか施術してはいけない」という警察の判断が下った。そして2015年には大阪府警が多数のタトゥーアーティストを摘発。罰金をとり、廃業に追いやったのだ。
警察の傍若無人な行動に、真っ向勝負で立ち向かうタトゥーアーティスト
突然の摘発。この警察の行動に正々堂々立ち向かうタトゥーアーティストのある男性の行動がきっかけとなり、「Save Tattoing in Japan(セーブ・タトゥーイング・イン・ジャパン)」が立ち上がった。
セーブ・タトゥーイング・イン・ジャパンを立ち上げた彼の名前は、増田太輝(ますだ たいき)さん。2015年に大阪府警に摘発されたタトゥーアーティストの一人だ。2015年の4月に家宅捜索され、同年9月に医師法違反の罪と罰金の略式命令を受けたが、彼は罰金を拒み正式裁判を申し立てたのだ。
【第1回公判前整理手続きが終了しました!】&
【ちちんぷいぷい映像を入手しました。】
先日25日にTAIKI氏の第1回公判前整理手続きがありました。来年からいよいよ法廷での戦いが始まります。
正直、裁判に勝てるのか負けるのかは弁護団の方…
摘発により罰金を支払ったタトゥーアーティストもいるが、増田さんが罰金を支払わなかったのはタトゥーアーティストとしてのプライドを守るためだった。罰金を支払えば、いままでタトゥーを施してきたことが違法だったと形式上認めることになる。増田さんはタトゥーを彫ることが違法とも思っていなければ、タトゥーを彫ることに医師免許が必要とも思わなかったため拒否したのだ。
この若い一人のタトゥーアーティストの行動に賛同した他の彫り師や、タトゥー文化を愛する人々によりセーブ・タトゥーイング・イン・ジャパンの活動が始まった。
セーブ・タトゥーイング・イン・ジャパンの活動とは?
セーブ・タトゥーイング・イン・ジャパンの活動内容は、タトゥーに特化した法制度の設立にむけた活動だ。タトゥーに関する勉強会、イベントなども行っている。今回の増田さんの裁判への支援もその一環。彼の裁判によりタトゥーアーティストの未来が占われるといっても過言ではない。
昨年末には総合芸術祭 SAVE TATTOOING 【EXPRESSIONS】 Vol.2というイベントも行われた。
12月18日SAVE TATTOOING 【Expressions】
与えらた自由から掴みとる自由へ
自分達で選択して生きる自由を伝えたい公演内容の追加発表!
◉トークセッション
【TATTOO摘発は不当なのか?正当なのか?】テーマに、…
内容はトークセッション、彫り師体験(バナナにタトゥーを彫る)をしてSNSにあげるブースや、彫り師によるボディーペイント、タトゥーシールの制作・販売、ライブパフォーマンス、DJ、ダンスパフォーマンスなど盛りだくさんで大盛況に終わったようだ。
タトゥーのことを知らず賛否両論している人がたくさんいる中、このようにタトゥー文化を知るきっかけを作ることはこれから裁判で闘い、日本でタトゥーのイメージを変えていくためには必然といえるのではないだろうか。
長きに渡って続く、日本の入れ墨文化
「確定申告で彫師として税金を納めていれば摘発されないのではないのでしょうか?」「キシロカインを使っていなければ、医師法で摘発されることはないのでは?」そんな風にたくさん寄せられました様々な疑問に弁護士さんがお答えします。#savetattooing
TATTOOアーティストの為のシンポジウム「東京インクジウム」
詳しくはこちら
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http://savetattoo.jp/news/one_news-16/
日本ではタトゥーに対するイメージがいいかというとそうではない。しかし、それは日本の入れ墨文化に歴史があるがゆえともいえる。
日本の入れ墨文化は紀元前1万年前ごろまでさかのぼるとも言われている。紀元後300年から600年ごろになると入れ墨そのものが犯罪行為として認識されるようになり、犯罪者に懲罰として入れ墨を施していた。
私たちが「入れ墨」と聞いて想像する装飾的なものは1600年くらいから江戸時代へ向け発展したが、1868年には外交で日本のイメージを良くするために入れ墨が禁止された。しかし実際に入れ墨文化が途絶えることはなく、犯罪者のあいだでは流行し続けていたし、日本に訪れる外国人は技術の高い日本の入れ墨にとても魅力を感じていた。
1948年には入れ墨が合法とされ禁止令が解かれたが、このときには入れ墨=犯罪者・暴力団というイメージが強くなっており、その結果として温泉やプールなどの公共施設では入れ墨が入っている人を断ることが一般的となってしまった。
今でこそ「タトゥー」という言葉のおかげで、若者の間ではおしゃれの一環として認められるが、まだまだ入れ墨にもタトゥーにも悪いイメージをもつ人は多い。しかし時代が変わりゆく中、いつまでも入れ墨=悪いと思うのは時代遅れとしか思えない。
本当にタトゥー彫り師に医師免許が必要なのか
タトゥーを彫ることに医師免許がいるかどうか聞かれたら、私は「いらない」と答えるだろう。なぜならタトゥーを医療として認識しておらず、ひとつの「アート」として受け取っているからだ。私自身はタトゥーをしていないが、入れている人を見ても何も思わないし、それこそファッションのひとつとして認めている。
もし私がタトゥーを彫ることがあったとして、医師か彫り師、どちらにお願いするかと聞かれたら、即答で彫り師にお願いする。なぜなら、医師よりもずっとプロだからだ。医師に彫ってもらったタトゥーと彫り師が彫ったタトゥーを比べたら、タトゥーから感じる熱の差はおそらく歴然だと思う。
やはり、タトゥーという作品を医師にお願いするのは私にとって違和感を感じざるを得ないのだ。さまざまな想いを込めて自分の身体に一生もののタトゥーを彫るために病院に行くなんて…おかしい。
また、タトゥーアーティストになりたい人がそのために医師免許まで取らなければならなくなるなんて、あまりにも仰々しすぎるのではないかと思う。
アンダーグラウンドな世界からオープンなタトゥー文化へ
本日は先日、世界的メディア【Kotaku】に掲載された記事をご紹介します。海外記事なので原文は英語になりますが和訳してますので是非、ご覧になってください。
海外の人から見る日本のTattooについての観点が非常に興味深いです。
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タトゥーといえばどことなくアンダーグラウンドな臭いがする。しかし、このセーブ・タトゥーイング・イン・ジャパンが目指すところは、高度な技術と衛生管理で徹底されたオープンなタトゥー文化なのだ。いままでのような入れ墨への後ろめたいイメージを払拭し、オープンな芸術として広めるのが最終目的となっている。
警察が敵にまわり窮地に追い込まれるタトゥーアーティストたちだが、それでも真っ向から闘い、さらにはオープンなタトゥー文化を追い求める姿にはこちらまで鼓舞される。
まだまだタトゥーアーティストたちの戦いは続くが、タトゥー・入れ墨が芸術であり、立派な職業として認められ、日本で生き残ってきた入れ墨の文化が途絶えないこと祈る。今後もセーブ・タトゥーイング・イン・ジャパンの活動を見守り続けたいと思うのであった。