出勤すると会社の入り口の近くに、ガラの悪そうな若者が数人いた。
いわゆる、「ヤンキー座りでタバコをぷかぷか吸っている」という典型的なやつである。
確かにうちの会社は路地の奥のほうにあり、人目に付きづらいため、そういった若者が好みやすい場所ではあるだろう。
そういえば、その昔、うちの会社の社員が借金を抱えていたことがあり、その取り立てに怖い人たちが会社まで取り立てに来ているのを見たことがあったのだが、またそういう類のことが起きたのだろうか。
どちらにしろ、こういうことは気にしないのが一番である。
俺はそいつらを横目に、
「バカそうな奴らだ」
「絶対に関わりたくない」
「とにかく上司に報告してすぐさま警察だ」
などと思っていたのだが、驚くことに4月から配属されてくる新入社員たちなのだそうだ。
てっきり、この会社は俺のような清潔感溢れる、真面目な好青年しか採用しないものだと思っていたのだが、とても心の広い会社なので、今年からヤンキー採用枠でも設けたのだろう。
あまりにもインパクトのある新入社員たちであったために、他の社員たちは「とんでもない奴らが入社してきた・・・」とぶるぶるとチワワのように震えていた。
まったく、情けない姿である。
先輩たるもの新入社員にビビっているようではダメだ。
無論、そんな中でも”狂犬”の異名を持つ俺は、そんなチワワ集団の中において、まるでブルドックのように、どっしりと構え、新入社員たちを睨み付けてやった。
新入社員がどんな奴であろうとも、生意気は一切許さない、すべてにおいてビシッとやっていくつもりだ。
例えば、
「taka先輩、パン買ってこいや」と言われれば、すぐさま買いにいくし
「taka先輩、肩もめや」と言われれば、喜んでモミモミするし、
「taka先輩、代わりに土曜日出ろや」と言われれば、笑顔で土曜日も出勤する覚悟である。
しかし、そんな中でも、時としてこの俺に盾突いてくるときもあるだろう。
それは若さ故、幼さ故にしょうがないことである。
残念だが、そのときはさすがの俺も手を出すつもりだ。
教育には多少の暴力も必要なのである。
言葉でわからない奴には、”拳”で教えてやるのが一番だ。
いつの時代も男と言うものは、結局最後は”拳”という会話で分かり合うものなのだ。
そうなった時は最後、ボッコボコだぜ!(俺が)