過ぎたるは及ばざるが如し
「生殖」─それは種の繁栄のため、生きとし生けるもの全てに宿命付けられた営み。古来より生殖能力の高さこそが生物としての価値を決めると思われてきた。
ことに人間の男性には、自らの男性器の大きさ=男としての価値だと考える人が多いようである。しかし先日、この大きければ大きいほどいいという風潮に待ったをかける、驚きの研究結果が発表された。
アメリカ・スミソニアン博物館に勤務する研究者達が、「生殖器が大きい生物種は絶滅しやすい」ことを明らかにしたのである。
この研究は、カイムシと呼ばれる小さな甲殻類を用いたものである。
カイムシは、遥か昔から現在まで非常に長い間繁殖を続ける生物。研究者達は、カイムシの化石を6000個集め、その形態により93種に分類した。
そして、93種の種として繁殖し続けた期間について調査したのである。
Having Big Genitals Can Spell Evolutionary Disaster, say Paleobiologistshttps://t.co/UHUZyXyLgm pic.twitter.com/Qnb5wfoGWX
— Damn Interesting (@DamnInteresting) 2018年4月18日
結果、93種の繁殖し続けた期間には大きくバラツキがあることがわかった。長期(およそ2000万年!)にわたって繁殖し続ける種もあるのに、逆に数千年程度で絶滅してしまう種もあるのである。
そして驚く事に、それは種の生殖器の大きさに依存しているということがわかったのだ。
なんと、大きく長い生殖器をもつ種は、小さい生殖器をもつ種に比べておよそ10倍も絶滅する比率が高かったという。
単純に考えれば、大きい生殖器を持つほど生産する精子の量も増えるわけで、子孫の数も増えるはずである。
研究者達の考察によると、生殖器を大きくするためにエネルギーを使いすぎて、環境の変化に適応することができなかったのではないかとのことである。
ちなみに、今現在も生き残っているカイムシの生殖器は、みんなほどほどサイズであるらしい。
世の中には大きさよりも大切なことがあるということを、カイムシは教えてくれたのではないだろうか。