240万人を救った男性
人を助けることは簡単ではない。困っている人のために自分が動くことは、単純だがなかなか難しいものだ。
オーストラリアに住むジェームズ・ハリソンさんをご存知だろうか?彼は240万人もの子どもを救ってきたのだ。
240万人!?どうやって!?
彼は血液ドナーとして多くの人を救ったのである。
14歳のころの手術がきっかけ
Help us thank the man who has given more blood donations than anyone else on the planet!
James Harrison, the Guinness…
こちらが彼の写真。
きっかけは14歳のときに受けた手術だった。
片方の肺を切除するような大きな手術で、大量の輸血が必要だった。血液を提供してくれた、名も知らない人々に助けられた彼は、そのときから自分も血液ドナーになりたいと思うようになった。
しかし、オーストラリアの法律では、18歳になるまで献血することはできない。「将来、自分も絶対に血液ドナーになる」そう誓った。
そして、18歳になったときに宣言通り、献血を始めた。
でもただ血液を提供するだけで、なんで240万人を救うことになったのか?
貴重な抗体を持つ
彼が献血を始めたころ、オーストラリアでは毎年数千人の赤ちゃんが亡くなっていた。命は助かっても、脳に障がいがあるという子どもも多かった。
原因は、Rh式血液型不適合妊娠。Rh(-)という種類の血液を持つ母親が、Rh(+)の血液を持つ子どもを妊娠することである。これが起きると、母親の体内のたんぱく質が子どもの赤血球を破壊し、身体にさまざまな影響を与える。場合によっては、流産を引き起こすこともある。
その治療のための抗体を持っていたのがジェームズさんだったのだ。
全面的な協力の末、1967年、初めてジェームズさんの血液から抗体を含んだ製剤が作られ、実際に投与された。
それからおよそ60年間、彼は血液を提供し続けている。
オーストラリア国内にある全てのこの抗体は、ジェームズさんの血液から作られたものだ。そしてこの製剤が240万人もの子どもを救ってきた。
最後の献血
そんなジェームズさんは先日、人生で最後の献血を行った。血液ドナーの年齢の上限に達したのだ。
Every fortnight for sixty years, James Harrison has been making the trek to the Red Cross to donate blood. #9News | https://t.co/ZiY2jT1X46 pic.twitter.com/sivoQoKz5a
— Nine News Sydney (@9NewsSyd) 2018年5月11日
↑献血の様子
献血の回数は1173回。常人には考えられない回数である。
しかし、彼はこんな風に語った。「私の記録を誰かが越えることを願っています。だってそれは、病気の治療のために私よりも身をささげた人がいるってことだからね。」
彼の長年に渡る献血は、病気の子どもや母親はもちろん、その家族も救ってきたに違いない。そう考えると、彼が助けたのは240万人を越えるだろう。
多くの人を助けることは難しい。ジェームズさんのような偉大な人物になりたいものである。