「何も考えず、すぐさまよじ登った」
自らの危険を顧みず、命を救うことができる人物・・・それを体現したかのようなヒーローが、先日フランス・パリに現れた。
5月26日、パリ中心部にあるマンションで4歳の幼児がバルコニーにしがみついている姿が目撃された。
この日、幼児は家で一人で留守番をしており、外に出ようとして落ちそうになってしまったと見られている。隣人が気付き、必死に手を伸ばし助けようとしているが、いつ力尽きて落ちてしまうか分からない。
現場は騒然とし、あまりにも危険な状況に人々は立ち尽くすしかなかったという。
そこに突如、外壁をよじ登り始める一人の男性が現れた。
Holy shit, this guy is amazing. What a hero. https://t.co/XVWbaULkFp pic.twitter.com/hHnF150XL5
— Hannah Jane Parkinson (@ladyhaja) 2018年5月27日
落ちたらひとたまりもない高層の建物を、驚くべき身体能力ですいすい登っていく。この間、わずか30秒。
その姿に周囲は驚きを覚え「だめだ！降りろ！」と警告をしていたというが、やがて5階までたどりつき子供の体を抱えると、その声は大きな称賛に代わった。
この一部始終がSNSで”スパイダーマン“と例えられ大きく拡散されると、パリのみならず世界中から反響が集まった。
その後の当局の発表によると、子どもの両親は当時家を空けていたことが判明。母親は当時パリにおらず、父親は子供を家に一人で放置していたとのことで、保護責任者遺棄の疑いで聴取を受けたという。
助けたのはマリ移民の22歳の男性
小さな子供の命を救ったのは、アフリカ西部・マリ共和国からの移民である、ムドゥ・ガサマさん（22）。
パリにやってきてまだ2か月しか経っておらず、在留資格もなかったとのこと。
Mcontext: he’s called Mamoudou Gassama, he’s 22, originally from Mali & scaled 4 storeys in 30 seconds to save that toddler in Paris pic.twitter.com/GbP0y1PpXA
— Hannah Jane Parkinson (@ladyhaja) 2018年5月27日
地元メディアに当時の状況について聞かれると、「何も考えずにとっさによじ登ったんです。」と答えたという。
その後28日、エマニュエル・マクロン大統領は彼をフランス大統領府に招き、ガサマさんに表彰状と勲章、そしてフランス国籍を与えることを発表した。
こちらが、そのインタビューの様子である。
ガサマさんはその時の心境について子どもを助けたあとに我に返り、怖くなってリビングで縮こまっていた・・・と話した。だが、「神が助けてくれました。上に登っていくにつれ、だんだん勇気が湧いてきたんです。」とあかしている。
このニュースはパリの消防局の耳にも届き、ガサマさんを採用する旨を伝えたとのこと。
ガサマさんにとって消防士は天職だろう。彼の正義感は、これからもたくさんの市民たちを救ってくれるに違いない。
