日本が勝利をおさめたコロンビア戦
6月19日、ロシアで開催されているW杯で、日本がコロンビアに歴史的勝利をおさめたのはまだ記憶に新しいだろう。
勝因のひとつとして、試合開始3分でコロンビアの選手が香川真司選手のシュートを止めようと右腕でボールに触れてしまい、一発退場になったことも大きい。
これにより、香川選手がペナルティーキックで先制点を決め、そのあとの試合もコロンビアチームは10人で戦うことになったからである。
しかし、この勝利を手放しに喜べないニュースが飛び込んできた。
なぜなら、退場となったカルロス・サンチェス選手に殺害予告が突きつけられているというのである。
退場になった選手に殺害予告が!
試合前には「私たち、そしてコロンビアの夢が!」とW杯に向けた意気込みをSNSで語っていたサンチェス選手。
多くの国民の期待を背負っていたサンチェス選手に対し、退場になったからといって殺害予告というのはさすがにやりすぎだと普通なら思うだろう。
しかし、コロンビアでは、24年前に同様の悲劇が起きていたのである。
帰国後、銃殺された『エスコバルの悲劇』
We remember Andres Escobar on the 20th anniversary of his death – http://t.co/Lc8V8ICyJn pic.twitter.com/SPtcanhgqG
— FIFA World Cup ? (@FIFAWorldCup) 2014年7月2日
1994年、アメリカW杯でコロンビア代表を務めたアンドレス・エスコバル選手。アメリカ戦でオウンゴールをしてしまい、一次リーグ敗退の原因になったと非難された彼は、自責の念に駆られながら帰国したという。
そして、帰国直後にナイトクラブで射殺されたのである。その際、「オウンゴールをありがとう」という言葉を告げられたというのは有名な話である。
今回コロンビアが敗戦したのち、SNSには何者かによってエスコバル選手とサンチェス選手の写真が並べて投稿された。警察はこれを脅迫行為とし、現在捜査を進めているという。
サンチェス選手と家族を守って!
この騒動を受け、彼を責める声はあるものの、多くのサポーターたちはサンチェス選手にエールを送っている。
コロンビアには妻と2人の子供がいるサンチェス選手。「危険だから帰国しちゃダメ!」というメッセージも多く寄せられているというが、家族にも危害を加えられるかもしれないというこの状況に、彼はいてもたってもいられないだろう。
24年前の事件は、サッカー賭博に関わっていたマフィアたちによって実行されたという見方が強いが、警察には徹底的な捜査をしてもらい、サンチェス選手の安全を確保してほしいと願うばかりだ。
たった一度の失敗で命を奪われてしまうようなことはあってはならない。24年前の悲劇は決して繰り返されてはいけないのである。