毎年恒例の罰金免除プログラム
サンフランシスコにある公立図書館では、毎年、年始めに、罰金免除月間といい、貸出し期限を過ぎた本を罰金なしで返却できるというプログラムを行っている。いい加減、本を返して欲しいからという本音もあるだろうが、新しい年の始めに利用者に気持ちのいいスタートを切ってほしいという、図書館からのお年玉だ。
2017年は1月3日から2月14日まで、プログラムが行われている。
そして、つい先日、サンフランシスコ公立図書館によると、そのプログラム期間中、貸出し期限を約100年過ぎた本が返却されたようだ。
前例のないこと
この出来事は、図書館全体を驚かせた。
図書館で働くダリック・マッカイさんは、
“今まで、5年とか10年後に、掃除中や引越し中に見つけたとか言って、返却されることはあったけど、100年は・・・”
と前例のない出来事に驚きを隠せない様子。
では、なぜ100年もの間、この本は返却されずにいたのだろうか。
「借りた本は絶対返す人だった。」
San Francisco library book '40 minutes late' returned 100 years later https://t.co/4H2KEbzjjN pic.twitter.com/fD8lERFjer
— Odd News from @UPI (@OddNewsUPI) 2017年1月19日
この本を借りたのは、フィービー・マーシュ・ ディッケンソン・ ウェブさん。その本を借りた当時、83歳だった。よく本を借りており、かなりの本好きだったようだ。
では、フィービーさん、延滞の常習犯だったのかというと、そういうわけではないようだ。
本を返却しに来た、曾孫のジュディー・ウェルズさんは、
”彼女は、借りた本は絶対に返す、そういう人だったわ。”
と念を押すように語った。
では、なぜ、その本は返却されなかったのだろうか。ジュディーさんは続けて、こう語る。
”でも唯一の問題は、彼女が返却日の一週間前に亡くなってしまったことだわ。幽霊になって返しにくるなんて、到底無理だからね。”
そう、フィービーさんは返却前に亡くなられてしまったのだ。その後、ジュディーさんが見つけるまで80年間、フィービーさんのトランクの中にしまわれていた。
ジュディーさんが見つけた後も、曾孫たちがその本を大切に保管し続け、そして、先日、2017年1月、ついにその本が100年の時を経て、曾孫たちの手によって返却されたのである。
なんとも信じがたい話だ。100年前の本が返却されるなんて、図書館員だれ一人予想していなかっただろう。見つけてから、20年間返さずに持っていた意図は理解しがたいが、4世代かかった本の返却、なんだか、わくわくするのは私だけだろうか?
実際の延滞料金はおいくら?
そこで疑問に思ったことがひとつある。
もし、その本が、罰金免除プログラム期間以外、つまり通常の日に返却されていたなら、延滞料金はどのくらいになっていたのだろうか。
サンフランシスコ公立図書館によると、65歳以上の人への罰金は、一日延滞につき5セント。それが100年、つまり、うるう年を含め36525日間となる。
それらを踏まえ計算すると、金額は1826.25ドル。日本円に換算すると、なんと219150円だ。あれ?意外と安いと思った方もいるかも知れない。しかし、これは本の延滞料金だということを忘れないで頂きたい。
「40分遅れ」
それはそうと、100年を経て、返却された本。どのような本だったのだろうか。
それは、この出来事にぴったりの本だった。なんと、本のタイトルは「40分遅れ(40 minutes late)」。
The title of the book? '40 Minutes Late.'
As for the book itself? 100 years overdue.
ABC7NYさんの投稿 2017年1月14日
いや、40分どころじゃねぇよ!筆者も思わず、ツッコミを入れてしまった。
もし、これが4世代掛かりの、大掛かりなアメリカンジョークだったなら、感服せざるを得ない。そして、伝えたい。「フィービーさん、あなたのジョーク世界中でウケましたよ。」と。
皆さんも、貸出し期限を過ぎた本があれば、返却せずに次の世代に受け継いでいくのもありかも・・・いや早急に返却して頂きたい。