こんな街のど真ん中にピアノ!?
このように、街の真ん中や、道ぎわにポツンと置かれているピアノが日本を含め、世界各地で出現しているのを皆さんご存知だろうか。
これらのピアノは、ストリートピアノと呼ばれ、上手下手問わず誰もが弾くことができる、いわば公共ピアノだ。
Play me, I’m yours!
世界で最初にストリートピアノが設置されたのは、イギリスのバーミンガム市。
2008年に行われた“Play me, I’m yours!(私を演奏して、私はあなたのもの!)”と題されたストリートピアノプロジェクトの一環で、市内に15台のピアノが3週間限定で設置されたのが始まりだ。
きっかけはコインランドリーで
ストリートピアノプロジェクトの発案者のルーク・ジェラム(Luke Jerram)さんは、
「このアイデアを思いついたのは、コインランドリーに行ったとき。その時僕は思ったんだ。毎週、同じ人たちがいるのに、誰もお互い一度も話そうとしないってね。そして、このような、いつも同じ空間で過ごしているにも関わらず沈黙だけのコミュニティが、この市内だけでもたくさんあるんじゃないかって突然思ったんだ。それが、このプロジェクトを閃いたきっかけだよ。」
と語る。
つまり、”Play me, I’m yours!”がルークさんなりの、「沈黙」を破る解決策だったのだ。
結果は大成功!結婚する人まで!
ルークさんのプロジェクトは大成功。その期間中、なんと推定14万人もの人々がストリートピアノを演奏した。
その後、このプロジェクトは世界中に広まった。2017年現在、1500台以上のストリートピアノが50カ国で設置され、ストリートピアノは、なんと約800万人もの人を魅了したという。
こちらは、ストリートピアノが実際に世界中で演奏されている映像だ。
弾いている人も、聞いている人も、凄く楽しそう。動画を見ているだけで、こっちもなんだか自然と笑顔になれてしまう。
動画のように、知らない人が集まり、一緒にピアノを演奏したり、デュエットをしたり、ストリートピアノが無ければ起こらなかったことが、こんなに簡単に実現してしまった。中には、ストリートピアノがきっかけで、結婚までしてしまった人たちもいるようだ。
完全にルークさんの思惑通りだ。「沈黙」は破られたようだ。
アジア第一号は鹿児島のある商店街に
もちろん日本にもストリートピアノは存在する。第一号は、2011年に、鹿児島市一番街商店街に設置された。
こちらがその日本第一号ストリートピアノ。
#鹿児島中央駅一番街 のストリートピアノ? pic.twitter.com/oY2pTaOj4q
— おれんじ# (@mr_orangeQ) 2015年4月30日
日本初のストリートピアノの設置を実現させた鹿児島まち自慢快発考舎の代表、大坪徹さんによれば、このピアノは廃棄される予定だったとか。それを地元のデザイン学校に、デコレーションを依頼し、ストリートピアノとして復活させたのだ。
きっかけは毎年恒例のイベント
2011年といば、九州新幹線前線開通の年だ。それを控え、活気づいてきた商店街をさらに盛り上げようと、声がかかったのが、大坪徹さん率いる鹿児島まち自慢快発考舎だ。
きっかけは、毎年2回開催されていた「ストリートオルガン」のイベント。そこからストリートピアノを思いつき、イギリスですでに成功しているということもあり設置を決めたそうだ。日本初のストリートピアノの設置は新聞に取り上げられ、すぐに広まった。
日本人は、外国人と違いシャイだからピアノを弾く人がいないのでは?という不安もあったようだ。しかし、不安とは裏腹に、毎日多くの人が演奏し、それを聞きにたくさんの人が集まっているという。商店街に、活気と笑顔がさらに増えたのだ!
鹿児島から全国へ
新聞に取り上げられたストリートピアノは勢いづき、地域の協力もあり、九州の各地に設置されるようになった。
2017年現在では、鹿児島県志布志市をはじめ、宮崎県都城市など、九州に21ヶ所。さらに九州以外の地域では、北海道に1ヶ所。そして、宮城県に東日本大震災の復興を願い2ヶ所設置され、合計で全国に24ヶ所にストリートピアノが設置されている。
こちらは鹿児島空港で撮影された、ストリートピアノならぬエアポートピアノの演奏風景。
あなたの街にストリートピアノを
人とのつながり、地域のつながりを強くし、街に活気と笑顔を生み出すストリートピアノ。興味を持った、実際に弾きに行きたいと思った方、たくさんおられるのではないだろうか。
残念ながら、ストリートピアノが全国的には浸透しきってはいないので、家の近くには無いという方も多いかもしれない。
しかし朗報もある。
実は、2017年1月27日にNHKのドキュメント72時間で宮崎市の橘通りにあるストリートピアノが取り上げられるのだ!
参照元:ストリートピアノJapan、Play Me, I’m Yours、Facebook、YouTube[1]、[2]、[3]、[4]、instagram、Twitter