二つの黄色のアーチ
今では、世界中、いろんな場所で見かけるマクドナルド。気軽に食べられ、その上おいしいとあって子供からお年寄りまで、人気のファストフード店だ。
そんなマクドナルドの、誰でも知っているこの有名なロゴ。皆さんは本当の意味をご存知だろうか。
まず最初に思い浮かぶのは、マクドナルド(MacDonald’s)のイニシャルである”M”からきているのではということ。確かに、M字型なのでそう思う人も多いだろう。
しかし、実はこれ、ロゴの本来の意味ではないようだ。
それでは早速、マクドナルドのロゴの真相を解明していこう。
秘密はマクドナルド第一号店に
どうやら、このロゴの秘密は、1955年イリノイ州シカゴ郊外のデスプレーンズにオープンしたマクドナルド第一号店にあるようだ。
こちらが、その外観。
ご覧の通り、大きな黄色いアーチが建物の両端についている。このアーチは「ゴールデンアーチ」と呼ばれており、当時のマクドナルドのトレードマークだったようだ。
もうお気づきの方もおられるだろう。この2つのアーチがマクドナルドのロゴの原型であるというのだ。
こちらはマクドナルド一号店を少し斜めから見た画像。どうだろうか、二つのアーチが重なり、M字のロゴのように見えないだろうか。
これを元に作られた、1960年代のロゴがこちら(青い円形の部分)。
現在のロゴと違い、まっすぐな線が2つのアーチを貫いているのがわかる。おそらく屋根の部分を表しているのだろう。しかし、その部分を除けば、現在のロゴとほぼ違いはない。
ご覧の通り、このマクドナルド第一号店にあったゴールデンアーチから、1960年代に使われていたロゴが考案され、そして時代とともに、そのロゴも変化を続け、現在の形にいたったのだ。
と、ここまではマクドナルドの公式ウェブサイトでも発表され、テレビでも紹介されたことのある、わりと有名な話。
ここからは、あまり知られていない、マクドナルドのロゴに隠された本当の真実を紹介しよう。
ゴールデンアーチはもういらない!?
それに待ったをかけたのが、その時雇われていたデザインコンサルタントであり、心理学者であるルイス・チェスキンである。
ゴールデンアーチが象徴しているのは、女性の・・・
その時、ルイスがマクドナルド経営者に言った説得の言葉。
「ゴールデンアーチは絶対やめてはいけない。なぜなら、その二つのアーチは、一組の女性の胸を象徴しているのだから。」
こんな、ふざけた言葉で、マクドナルドの経営者が説得させられるわけがない。そう思われた方も多いだろう。
しかし、結果は・・・
見事、ルイスはマクドナルド経営者の説得に成功。二つのアーチは新しい店舗にも取り付けられただけでなく、マクドナルのM字のロゴに「女性の胸」という新しい意味も付け加えられた。
その本当の意図とは?
しかし、心理学者ルイス・チェスキンは決してふざけて、それを言ったわけではない。また、説得が成功したのも決して、マクドナルド経営者が無類のおっぱい好きだったからではない。(いやそうだったかも知れないが。真相はわからない。)
とにかく、ルイスがそう言ったのには、ちゃんとした心理学的な理由があるのだ。
その精神分析学におけるフロイトの理論は、人のほとんどの衝動は、性欲と、小さいころの経験に影響され、ほとんどの思考や想像は無意識下で行われているというものだ。
その精神分析学に基づき消費者行動を研究するルイス・チェスキンは、その理論をマクドナルドのロゴにあてはめたようだ。
つまり、女性の胸を象徴する二つのゴールデンアーチをロゴにすることにより、消費者の無意識の欲望を操作し、マクドナルドに行くことを性的に誘惑できるのではないかと考えたのである。
また、当時のマクドナルドのスローガンが“ママに休みをあげよう(Give Mom a night off)”と子供をターゲットにしていたマクドナルド。二つのアーチが母親を連想させるのではという考えもあったようだ。
実際に効果は?
果たして、「人々はマクドナルドのロゴを見て、無意識に性的なイメージを感じてしまう」というルイスの考えは正しかったのだろうか。あのロゴを見て、「見ろよ!おっぱいだぞ!」と思った人がいると言われると、正直疑ってしまう。
どちらにせよ、マクドナルドのロゴは、世界でもっとも有名で、馴染み深いロゴだといっても過言ではないだろう。ただ、その無意識の性的なイメージがそれに関係しているかどうか知るすべはない。
しかし、個人的には、ルイスが主張した一組の女性の胸という「隠された真実」が、少しでも現在のマクドナルドの人気に影響していると願いたい。