こちらの1枚の写真をご覧いただきたい。
Turkey president Recep Tayyip Erdogan has weighed in on the Mesut Ozil racism row.
Full story: https://t.co/Lt6bHf2gjl pic.twitter.com/IaaNqrpRO3
— BBC Sport (@BBCSport) 2018年7月24日
ユニフォームを持った男性2人の写真だ。
左の男性は、アーセナルというサッカーのチームに所属するメスト・エジル選手で、右の男性はトルコの大統領であるエルドアン氏だ。
ドイツ出身であり、イギリスのチームであるアーセナルに所属しているエジル選手がなぜトルコの大統領と写真を撮っているのだろうか。
ドイツとトルコ、2つのルーツ
彼はドイツで生まれ育ったが、両親はトルコ人。つまりトルコ系ドイツ人ということだ。なるほど、だからトルコの大統領と一緒に写真を撮っていたのか。
しかし、事態は思わぬ方向へ。先ほどの写真が原因で、彼はドイツ代表を引退することになった。
一体なぜか?トルコ系ドイツ人である彼がエルドアン大統領と写真を撮っても何の問題もなさそうなものだが…
ドイツがエルドアン大統領を非難
エルドアン大統領は独裁ともいえる政治を行ってきた。トルコ国内の反エルドアンを掲げる人々を弾圧してきたといわれている。これにドイツをはじめとした一部の国は反発している。
そんな状況の中、エジル選手がエルドアン大統領と仲良く写った写真が公開された。この行為がエルドアン大統領を賛美しているとして、ドイツ国民から非難されたのだ。
「政治的な意図はなかった」
エジル選手は「政治的な意図はなかった」とコメントした。
しかし、騒動は収まらない。特にワールドカップでドイツ代表が敗退してからは、敗戦の原因はエジル選手にあるという見方がされたりした。彼やその家族に対する風当たりは一層強くなっっていった。
そしてこの写真を撮ってからおよそ2か月後、彼は代表を引退するという決断をした。その発表に際して、彼は告発文ともいえる文章を公開した。
The past couple of weeks have given me time to reflect, and time to think over the events of the last few months. Consequently, I want to share my thoughts and feelings about what has happened. pic.twitter.com/WpWrlHxx74
— Mesut Özil (@MesutOzil1088) 2018年7月22日
ドイツメディアがこぞって彼のルーツを非難していること、ドイツサッカー連盟の会長から不当な扱いを受けたこと、政治家から差別的な発言を受けたことなどが記されていた。その最後は、人種差別は決して許されるべきじゃないという言葉であった。
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移民が多いドイツなのに、いやだからこそか、彼の2つのルーツは受け入れられなかった。
自分のルーツの国の大統領と写真を撮ることがそれほどまでに非難されることだろうか。ネット上では代表引退を惜しむ声が相次いだ。
多様性が叫ばれる昨今だが、彼が本当の意味で受け入れられる日は来るのだろうか。
現在、エジル選手はアーセナルでプレーを続けている。
参照元:Twitter[1]、[2]、BBC Sport、The Guardian