アメリカ屈指の筋肉と料理スキル!
今年6月、海外の巨大掲示板「Reddit」にて、ホワイトハウス専属のある料理人の画像が投稿された。
すると、その凶暴かつ繊細な見た目から、ネット民の間で「牛を素手で倒して調理しそう」「映画の登場人物みたい」と話題になっている。
白い調理服から伸びるのは、筋肉モリモリのたくましい腕。この方、プロレスラーがコスプレしているわけでは決してない。正真正銘の料理人である。
彼の名前はアンドレ・ラッシュ氏。ホワイトハウスのお抱えシェフとして活躍するほか、テレビ番組にも多く出演しているという。
このように非常に華やかな経歴の持ち主だが、一方で、その裏には計り知れない苦悩があった。
軍隊での辛い経験を糧に
アンドレ・ラッシュ氏の前職は、アメリカ陸軍曹長。1993年に入隊後、ケンタッキー州や韓国の駐屯基地で職務を全うしてきたが、2003年のイラク戦争に派遣されたことで一変。
戦場での精神的苦痛が多く積み重なり、PTSDを発症したことから、23年勤めた陸軍から身を引いたという。
それ以降、ラッシュ氏はかねてから趣味としてもっていた料理に力を入れ始めたのだそう。退役前にも調理班を経験してきただけあり、料理は彼の心を癒しはじめたのであった。
そして現在、大統領に腕を振るう一流のシェフとして成長。バラク・オバマ前大統領や、ビル・クリントン氏にも料理を振舞ってきた。
また彼は、過去の辛い経験から、PTSDに苦しむ退役軍人のサポート活動も続けているという。その理由は、毎日やっている2222回の腕立て伏せに込められていた。
イラク戦争を共にした多くの戦友達が今もなおPTSDに苦しんでおり、彼もまた大事な友人を自殺で亡くしてしまっている。彼は失ってしまった友人たちのことを、腕立てをすることで思い出しているのだという。
過去に出演したテレビ番組のインタビューでは、「私のような強そうな見た目をした人でも、助けを求めていいのです」と語っていた。
どんなに頑丈そうな人でも、辛い経験をすれば心が折れてしまう。そんなとき、彼のように手を差し伸べられる人間になりたいものだ。
非常にキャラの濃い見た目をしているが、その中身は、強く優しい心で満ち溢れていた。この一度では挫けない真っ直ぐさに、今多くの人が勇気付けられていることだろう。