想像を絶する痛みの中、助けもなく出産
お産は母親が命をかけてするもの。徹底した医療のサポートのもと行われるべきだ。
しかし今回の女性は、妊娠中にも関わらず、身分詐称の疑いをかけられ留置所に入れられてしまった。鍵のかかった部屋に閉じ込められている中、なんと産気づいてしまったのである。
下の映像は、当時の留置所内の監視カメラが捉えたものだ。
拘束されていたのは、アメリカ・テキサス州在住のダイアナ・サンチェスさん。
8月に提出された連邦訴訟によると、彼女は昨年7月14日、個人情報を盗んだ罪でデンバー郡刑務所の留置所に身柄を拘束された。彼女は事前の診察で早産の可能性を警告されていたというが、運悪く、勾留中に陣痛が始まってしまったのである。
サンチェスさんは何度も救急車を呼ぶように求めたというが、なんとスタッフは給水パッドを渡すだけで放置。保安官代理は、サンチェスさんが痛みで泣き叫ぶ姿を窓越しに見ているだけだった。
のちの調べにより、サンチェスさんは5時間も放置されていたことが明らかになった。
やがて、「もう助けは来ない」と考えたサンチェスさんは、ズボンを脱いで男児を出産。この瞬間にようやく看護師が入り、男児を取り上げたのである。
出産から15分後に消防士が到着するまでへその緒も切断されず、周りには必要器具も全く揃えられていなかった。
だがデンバー郡保安官局は、「刑務所の看護師は市立病院直属となっており、サンチェスさんが出産した時点で、適切な医療ユニットにうつっていました」と弁明。
市立病院側も、「毎年何千人もの受刑者に質の高い医療を提供している」と擁護し、これ以上のコメントを差し控えている。
サンチェスさんは米メディア”CBS”の取材に対し、事件に対しこの様に述べていた。
「私が間違ったことをし、過ちを犯したのは事実です。しかし、私の赤ちゃんは罰を受けるに値しません」
刑務所側は今年の8月中旬に、妊娠中の受刑者はいかなる状況にあっても病院に連れて行くよう方針を変更したという。
サンチェスさんが出産したときの不安は計りしれない。彼女の心の傷は一生残ることだろう。