男のロマン
皆さん、特に男性諸君「失われた~」という言葉にロマンを感じる人は多いのではないだろうか。筆者自身も少年時代に、そういったものに魅かれ、一人で近くの空き地で穴を掘り「失われた何か」を真剣に発掘しようとしていた記憶がある。今となっては、そんな少年心も好奇心も失ってしまった筆者だが、それはまた別の話。
とにかく、そんなロマン溢れる「失われた~」シリーズ。代表的なものが「失われた大陸」だ。アトランティス大陸をはじめ、ムー大陸、そしてレムリア大陸。今では存在しないが、過去に存在したといわれる伝説の3大大陸だ。今までにも、それらの大陸の痕跡が発見されたというニュースが世間を賑わしたことはあるが、大陸の存在を決定付ける証拠の発見にはいたっていない。
そんな中、なんと先日、「失われた大陸」の一部がインド洋に浮かぶモーリシャス共和国の下で発見されたとしてニュースになった。しかし、今回発見された大陸の一部というのは、上に挙げた三つのうちの、どれでもなかった。発見されたのは、超大陸ゴンドワナ大陸だったのだ。
ゴンドワナ大陸って?
ゴンドワナ大陸と聞いて、ピンとくる方はあまり多くないだろう。それは、大陸が現在の形になる前の話・・・。
約2億年以上前、大陸はこのような形であった。大きく二つ、北半球側のローラシア大陸と南半球側のゴンドワナ大陸に分かれていた。ご覧の通り、ゴンドワナ大陸が分裂、移動することにより、現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、南極大陸、そしてオーストラリア大陸が形成されたのだ。
え、どこが失われたの?
「おい、ちょっと待て。ゴンドワナ大陸、失われてないじゃん。」大半の方がそう思われたのではないだろうか。確かに大陸の形は変わってしまったが、現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、南極大陸、オーストラリア大陸として残っているように見える。
でも大丈夫。ちゃんと失われてます。
こちらの画像は、ゴンドワナ大陸が分裂し移動している様子。そして大陸が移動する際に、ゴンドワナ大陸の一部がインド洋に取り残されてしまった。そして、そのいくつかはマグマによって覆われてしまう。つまり、そのインド洋に取り残された大陸はマグマの中に消え、失われてしまったのだ。
存在への確信
今回その「失われた大陸」の一部が発見されたのは、インド洋のマダガスカル島の横に浮かぶ島国、モーリシャス共和国だ。暖かい気候、そして美しいビーチがあることから、アフリカでは人気の旅行先だ。
モーリシャスにちなんで名付けられたモーリシアと呼ばれる、今回発見されたこのゴンドワナ大陸の一部。実は、2013年から存在は疑われていた。というのも2013年、約900万年前に火山の噴火により形成されたと言われていたモーリシャス島のビーチから、存在するはずのない約15億年前のジルコンと呼ばれるミネラルの一種が検出されていたのだ。そして、そのジルコンがゴンドワナ大陸に含まれているものの年代と一致した。そのことから、研究者たちは、インド洋の地下に眠っていたゴンドワナ大陸の一部の欠片が、火山の噴火により、地表に運ばれたのではないかと結論付けた。
しかしその当時は、「風でどこから飛ばされてきたのではないか。」、「誰か研究者が持ち込んだのではないか。」など、その研究結果に疑いの声も多かった。
そして今回、アフリカのウィトウォーターズランド大学によって発見されたのは、そのモーリシャス島には普通なら存在するはずのない、30億年前のジルコンを含んだ岩。
とても、風に飛ばされたりするような大きさではない。つまり、モーリシャス島の下に、失われた大陸があるということが確信に変わったのだ!
さらに、この研究から、このモーリシアはもともとマダガスカルとインドの一部であったこともわかっている。かつてモーリシアはマダガスカルとインドに挟まれており、マダガスカルとインドが離れていくにつれ、モーリシアも縦に伸ばされていったのだ。
ロマンは続く・・・
この研究成果は、他の失われた大陸の発見への手助けになるという。大陸がどのように分かれ、移動したかを解明する大きな手がかりになるからだ。実際に、西オーストラリアの沖や、アイスランドの下にも、大陸の一部が見つかったという。
アトランティス大陸や、ムー大陸、そしてレムリア大陸が見つかる日もそう遠くないかもしれない。まだまだ、私たちのロマンは続くのだ。
また、モーリシアに関しても、まだ全貌が明かされたわけではない。続報が出次第、お伝えしていきたいと思う。