ニューヨーク・ブロードウェイミュージカル「KPOP」わずか17回の公演で閉幕

カルチャー

ミュージカル「KPOP」、突然の終了

11月27日、ニューヨーク・ブロードウェイで正式な初日を迎えたミュージカル「KPOP」は、エンターテインメントの本場でK-POPと韓国文化を高らかに歌い上げ、新たな歴史を作った。しかし、ミュージカルのプロデューサーは先週終了日を発表、12月11日が最終日となった。「KPOP」の突然の終了の主な理由は、興行収入の低迷によるものだという。

ミュージカル「KPOP」は、スーパースターたちが一夜の特別なコンサートのために奮闘するストーリー。韓国の大手芸能事務所が練習生をトレーニングさせる過程や、米国市場での人種差別・偏見なども盛り込まれた内容だ。2017年9月にオフ・ブロードウェイで舞台初演、劇場の客席数が500席未満の公演だったが、全席完売で公演も延長されるほど好評だった。

その勢いをかって、ブロードウェイに進出した。「KPOP」は10月13日にプレビューを開始し、公式の初日は11月27日に行われた。このミュージカルにはアジア系アメリカ人の歌手、俳優、ダンサーなどで構成される18人のキャストが出演している。しかし、興行収入は低迷し44回の試写会と17回の定期公演を行って12月11日で閉幕となる。

ニューヨークタイムズのレビュー「目を細める」!?

ニューヨークタイムズ紙のチーフシアター評論家ジェシー・グリーンはその舞台レビューで、

この舞台「KPOP」の照明デザインには「目を細めた」。しかし韓国語を話さない演劇ファンはショーを楽しむことができないだろう。

という表現を用い、このレビューの一部はカジュアルなヘイトクライムではないか、と議論を呼んでいた。

コロナ禍が始まって以来、アメリカではアジア系(※米国では「AAPI」=アジア・太平洋諸島系という表現が用いられるようになっている)を標的にしたヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増し社会問題視されている。

残念ながら舞台は閉幕となるが、舞台のプロデューサーはアジア系コミュニティのメンバーと若者に「KPOP」の最終公演の無料チケット200 枚を提供すると発表した。それと共に、有名アジア系シアターアーティスト達を招いて、ブロードウェイのステージ上でのアジア系の表現に関するパネルディスカッションが行われることになっているという。

ヒットしなければ即打ち切り、という厳しい一面があるニューヨーク・ブロードウェイ。今回は残念な結果となったが、このショービジネスの激戦区で活躍するアジア系アメリカ人、アジア人が増えることは喜ばしいことだ。是非また別の形でのチャレンジを期待したい。

参照元:NextsharkAsamnews

あなたにおすすめ

記者紹介記者一覧

ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

この人が書いた記事記事一覧