アフリカの自然の中で繰り広げられた闘い
南アフリカ共和国北東部のリンポポ州とムプマランガ州にまたがる”クルーガー国立公園”はアフリカ大陸有数の大きさを有す鳥獣保護区である。この雄大な自然の中で繰り広げられた感動的な闘いが話題となっている。
その内容は、ヤマアラシの一家が突如として襲撃してきたヒョウと戦い、2頭の子供達を守ろうと奮闘する姿を捉えた感動的なもの。この映像は先月上旬に公開され、現時点で770万回を超えて再生されている。
勝利を収めるのはどちらだろうか?早速ご覧頂きたい。
この映像を撮影したのは、クルーガー国立公園のフィールド ガイドであるムフンド・ニャンビ氏。彼は、フィールドガイドとして何年にもわたって多くの野生動物を目撃してきた。彼はゲストの団体を”ブッシュ・ウォーク”に連れて行く準備をしていたところゲストの1人が「朝早くにこの地域でヒョウを見た!」と知らせてくれたので、その方向へ向かったという。
すると、
「私の前の道で、ヤマアラシの母親が2頭の子供たちと一緒に窪みから現れた。その後すぐにオスのヤマアラシが続いた。それからヒョウ!その朝、私たちが探していたのと同じヒョウだった。そしてヒョウは狩りの最中だった・・・。」
とニャンビ氏はその状況を語った。
ヤマアラシは通常、声を出す事はほとんどないという。映像でも聞こえる深いうめき声は、はっきりとした威嚇であり、ヤマアラシが何らかのストレスを受けている兆候を示しているという。
闘いは意外な展開を見せた
ニャンビ氏は当初、ヒョウがヤマアラシをすぐに圧倒するだろうと思っていたそうだ。
しかし、ヤマアラシの夫婦はヒョウに対し、背中にそそり立つ鋭い針を向けて立ち向かった!この攻撃的防御は恐ろしいヒョウに対して有効だったようだ。ヒョウは子供達を牙にかけようと狙うが、夫婦の絶妙な位置取りと鋭い針のためにすんでの所で近づくことが出来ない。
ヤマアラシの夫婦は、常にヒョウが2頭の子供達へ手の届かない距離をキープするよう体を入れ替え続ける。2頭の子供達もクルクルと位置を変え続けヒョウから逃れる。
緊迫の攻防は約2分間も続き、やっとことヒョウはあきらめて茂みの中へ退却した。このヤマアラシの一家は、見事なチームワークで無事にヒョウを退散させることができた。お見事!
「両親の愛についての最高の短編映画だ」「素晴らしい団結だ!子供達も自分の居場所を知ってたよね。」「彼らは何をすべきかを正確に知っていました。家族が協力する力は偉大だ」「これが”チームワーク”と呼ばれるもの」「こんなに保護的で献身的な両親がいたらいいのに..」
と公開された映像には賞賛のコメントが並んでいる。
映像を見て、ヤマアラシの大きさに驚いた方も多いはずだ。筆者も、そのユーモラスな名前と風貌からもっと小さくカワイイ動物を想像していたが全然違いますね。
Wikipediaによると、ヤマアラシは積極的に外敵に攻撃をしかける攻撃的な性質をもっているという。肉食獣などに出会うと、尾を振り、後ろ足を踏み鳴らすことで相手を威嚇するだけでなく、頻繁に背中の針を逆立てて、相手に対し後向きに突進する。
その針毛は硬く、ゴム製長靴を貫く程であり、また捕食された場合でも針が相手の柔らかい口内や内臓を突き破り感染症や疾患を引き起こさせ、場合によっては死亡させるという・・・。
一見、か弱い動物が何とか家族のチームワークでしのいだように見えるこの映像だが、案外ヒョウにとってはラッキーな終わり方だったのかもしれませんね。ヤマアラシ、恐るべし。