灼熱の亜大陸インドは、世界で最も水不足に苦しむ国の一つでもある。
このほど、そのインドの政府職員が貯水池のほとりで自撮り中にスマホを池に落とし、それを探すために池の水を抜くよう命令したという。
この行為はあらゆる方面から批判を受け、職員は停職処分となった。
この職員はインド政府の食品検査官ラジェシュ・ヴィシュワス氏32歳。
5月21日、彼はインド中部チャッティースガル州のケルカッタ・ダムにサムスン製スマートフォンを落とした。インディアン・エクスプレス紙の取材によると、彼は友人たちとこの貯水池にピクニックに行き、自撮り写真を撮っていたところだったという。
このスマホは2ヶ月前に買ったばかりで、貯水池に落としてしまい非常に動揺していたそうだ。
同氏は当初、この落としたスマホには“政府の機密データが含まれている”として、地元ダイバーにスマホの探索を依頼していた。しかしそれがうまくいかないと分かると、彼はディーゼルポンプを使って貯水池から水を抜くように要求したという。
結果として、この貯水池から3日間で約210万リットルの水が排水された。この排水量はインドでは少なくとも1,500エーカー(609万平方メートル/東京ドーム約130個分)の土地を灌漑するのに十分な量だという。
ヴィシュワス氏のこの行為は大量の水を無駄遣いしたとして広く批判を受けた。彼は殺到する記者団の取材に対し、
“貯水池の水は灌漑には適しておらず、水を抜く許可は上官から得ている!”
と語ったそうだ。
しかし、このほどヴィシュワス氏は政府機関から停職処分を受けることとなった。
その処分理由として上官は、
「ヴィシュワスはスマホを探すために自分の立場を悪用し、主務官の許可を得ることなくこの灼熱の夏の季節に大量の水を排水させたが、これは容認できない」
と述べている。
なお、水を抜いて池の底にスマホは発見されたものの、水浸しになっていたことにより起動しなかったという。