ロボットが走ったり踊ったりするのは、もう珍しくなくなってきた。でも、今度はなんと登山に挑戦するという。しかも、よりによって世界遺産の山である。
2026年11月2日、中国・山東省の泰山で「第1回CMG世界ロボット泰山登山大会」が開催された。約90チームが参加し、人型ロボットや犬型ロボットが石段だらけの山道に挑んだのだが、なかには転倒する選手や、担架で運ばれる選手まで現れた。
いやあ、ロボットも山をなめちゃいけませんな。
世界遺産の山にロボット約90チームが集合!
大会の舞台となった泰山は、中国で古くから神聖な山として崇められてきた場所。歴代の皇帝たちが儀式を行ったことでも知られ、ユネスコの世界遺産にも登録されている。
そんな由緒正しい山に今回集まったのは、修行僧でも登山愛好家でもなく、最新鋭のロボットたち。登山ルートは約3.9キロ、石段は3100段以上という、なかなか本格的なコースだ。
大会には、人型ロボットの競速、四足歩行ロボットの競速、荷物を運ぶ競技、人間の歩行を助ける外骨格装置の競技などが用意された。速く登るだけでなく、卵やスイカといった荷物を運ぶロボットも登場したという。山登りというより、もはやロボットたちの運動会である。
犬型ロボットは快走! 人間の技術者が必死に追いかける
四足歩行ロボットの競速部門で優勝したのは、北京霊翌科技チーム。約3.9キロの登山ルートを43分41秒で登り切ったというから、なかなかの健脚だ。いや、健脚というより健モーターか。
しかも面白いのは、ロボットの後ろを人間の技術者たちが必死に追いかけていたこと。中国の新華社通信も、犬型ロボットは軽快に進む一方、後ろのエンジニアは息を切らしていたと伝えている。
一方、人型ロボットの競速部門では、智身凌岳チームが27分26秒で優勝した。ただし、こちらは四足歩行ロボットとは異なる短い競技区間なので、単純にタイムを比較することはできない。
それにしても、ロボットが山を登り、人間がその後ろを必死に追いかけるとは。主従関係が逆転する未来は、案外こんなところから始まるのかもしれない。
転んで、壊れて、最後は担架で下山!
もちろん、すべてのロボットが順調に登れたわけではない。石段でバランスを崩して倒れる人型ロボットや、階段を転げ落ちてしまうロボットも現れた。開発者たちはそのたびに駆け寄り、修理や調整に大忙しだったという。
なかでも話題になったのが、Unitree製の人型ロボット「G1」。大会に出場した機体は途中で過熱による不具合が発生し、安全のためリタイア。なんとスタッフが担架に乗せて山から運び下ろしたのである。
人間の登山大会なら、担架で運ばれる選手を見れば心配になるところだ。しかし、運ばれているのがロボットとなると、どうにも不思議な光景になる。熱中症ではなく、こちらはモーターのオーバーヒート。救護班にも機械の知識が必要な時代になったらしい。
なぜわざわざ山に登らせるのか?
こんな大変な思いをしてまで、なぜロボットを山に登らせるのだろう。実はこれ、単なる見世物ではなく、ロボットの実用化に向けた重要な実験でもある。
工場の平らな床と違って、自然の山道には高さも幅もバラバラな石段があり、急な坂や曲がり角もある。ロボットは足を置く場所を判断し、姿勢を保ちながら、モーターやバッテリーをうまく使わなければならない。こうした能力は、将来の災害救助や物資運搬などにも役立つ可能性がある。
ただし、今回の大会では人間による操作や補助が必要な機体も多かった。ロボットが完全に自律して山を登れるようになった、という話ではない。まだまだ人間の手助けが必要なのである。
次は富士山? いや、その前に下山の練習を!
考えてみれば、ロボットがスポーツに挑戦する光景も、ここ数年ですっかり増えた。当サイト、edamame.でも2025年に北京で人型ロボットのハーフマラソン大会が開催され、 転倒や故障が続出したことをご報告している。
そして今回は、平地を飛び出して山へ。走るだけでなく、登る、運ぶ、転んだら立ち上がるといった能力が試されるようになったわけだ。失敗ばかりに見える場面も、開発者にとっては貴重なデータになる。
いずれロボットが登山客の荷物を運んだり、遭難者を救助したりする時代が来るかもしれない。ただ、その前にひとつお願いがある。
山を登れるようになったら、ちゃんと自分の足で下りてきてね。毎回担架で迎えに行くのでは、人間のほうが先に遭難しちゃうかもだから。
参照元:
CCTV+・大会公式映像【1】
新華社・2026年11月3日【2】
FNNプライムオンライン・2026年11月4日【3】
IT之家・G1のリタイア報道【4】
Euronews・大会映像【5】
CCTV Video News Agency・Youtube【6】








