13日に脱北した兵士の動画が公開される
11月13日午後、北朝鮮軍兵士(朝鮮人民軍)の「オ」という一人の兵士が軍事境界線を突破して脱北し、韓国・板門店で救助された。
オ氏は若干24歳の若さだというが、一体どのようにして北朝鮮の厳重な警備を脱出してきたのだろうか。
その壮絶な一部始終が、先日22日、国連軍司令部から公開された。
動画は車が猛スピードで走ってくるシーンから始まる。
道路中央に移っているのは幹部用と思われるジープ。オ氏は後程病院にて、自分が運転兵であると言っていたという。
まず初めに突き当たったのは国境検問所。徒歩で横断できる場所に設けられた場所で、板門店経由で北朝鮮に入国してくる観光客を管理する場所となっている。
オ氏は一旦スピードを緩めるも、検問を振り切りそのまま走る。
「金日成」と描かれた白い石碑を横切ると、軍事境界線まであとわずかとなる。
しかし、ここでジープが足をとられ動かなくなってしまう。
異変に気づき板門閣(国境にある軍事停戦委員会の事務所)から飛び出してくる兵士たち。
落ち葉の上で横になり身をひそめるオ氏。この時点で腹部など5発被弾している。
北朝鮮兵に気づかれないよう、壁の向こうに注意しながら2名の韓国兵(中心付近の白い影)が救助する。オ氏はこうして国境を乗り越え、脱出に成功した。
その後大学病院に運び込まれたが、更に大きな注目を浴びたのは寄生虫の存在である。おびただしい数の虫が寄生しており、被弾したことで小腸がやぶれ、腹腔にまで寄生虫に汚染される恐れがあったのだという。
だが目視による除去手術により、次第に回復。23日には奇跡的に意識を取り戻している。
世界のネットでは、幸いにもオ氏を心配する声が上がっているが、一方で「なぜ国連軍と韓国軍は撮影しているだけで助けなかったのか」という怒りの声も寄せられているという。
オ氏の脱北により、南北の激しい分断と、人権が無視された状況、そして知られざる北朝鮮の惨状が徐々に明らかになりつつある。