思想と母親、どっちが大事?
動物の保護を求め、自分の生活から動物性食品をなくそうと試みるヴィーガン。一つの思想として尊重されるべきだとは思うが、暴力的な手段で他人に同じ考え方を強いるのはいかがなものだろうか。
先日、自分の母親に肉の調理をやめさせようとしたヴィーガンの娘が、包丁で脅すという恐ろしい事件が起こった。
発端となったのは、私たちもよく口にするだろうミートソースの一種だった。
逮捕されたのは、イタリアのエミリア・ロマーニャ州で母親と同居していたという48歳の娘。
法廷で、娘は「母親のもとに帰って来るまで、ずっと動物性食品の臭いすら嗅いでいなかった」と話しており、ヴィーガンであることを主張していた。
そして、事件は母親がラグーソースを作り始めたことがきっかけで起こったのである。
ラグーソースとは、ひき肉や野菜のみじん切り、赤ワインを煮込んだ、イタリアでは一般的なパスタソース。日本で見られるミートソースもこの一種である。
親子が住むエミリア・ロマーニャ州でも一般的な家庭料理であり、母親は普段の料理として作っていたのだろう。だが、小さなアパートの一室に数時間にわたって料理の匂いがたちこめていたことから、娘は激怒。
やがて娘は包丁を手に取ると、母親に対し「料理をやめなければ私があんたを止める。今すぐラグーを作るのをやめるか、腹にナイフを刺されるかどっちがいい!?」と脅したのだ。
驚いた母親が警察に通報し、娘はすぐさま逮捕。
10月に開かれた裁判で、娘は殺人未遂で有罪となり、罰金約5万円(400ユーロ)が課せられ、母親に6万円(500ユーロ)を支払うよう命じられた。
英紙”The Telegraph”の報道によると、母親は69歳。ヴィーガンの思想を知らない世代だったのだろう。菜食を正しく広めていこうと考えているヴィーガンにとっても、迷惑極まりない事件だったに違いない。