アメリカ・ミズーリ州立大学で教鞭をとるメディア学の教授・アンドリュー・クライン氏は、学生にこんな課題を出した。
「SNSで爆発的に拡散される投稿をしてみよう」
この課題の意図は、SNSで拡散されるコンテンツを作ることが「いかに難しいか」を学生たちに思い知らせること。すべての学生がこの課題に失敗するはず……クライン氏はそう思っていたらしい。
しかし、学生のシドニー・アルトさんは、あっさりこの課題を「クリア」してしまった。
シドニーさんは友人たちとともに、「拡散される動画」のコンセプトをひねり出して撮影。ツイッターに投稿した結果、瞬く間に拡散されていったのだ。
その投稿はこれ。
動画のテーマは「教授が、テストの代わりにパーティーを開催したんだけど、誰も来てない」
ちなみに、動画に映っているサンタ帽を被った教授らしき人物が、アンドリュー・クライン氏その人である。
「パーティーに誰も来ない」──これはある種の鉄板ネタである。
日本でも、アニメ「巨人の星」の主人公が主催したクリスマスパーティーに誰一人やって来ないシーンが、なにかとよく引き合いに出されたりする。
まさに、シドニーさんの狙い通りに拡散したこの投稿。事はどんどん大きくなって、ミズーリ州立大学の公式アカウントまでもがこのフェイク動画を信じ、こんなツイートを行った。
ここにいるみんなが、あなた(クライン氏)を心配してますよ。
ここまで来ると、もうさすがにネタばらしせざるを得ない……そう感じたクライン氏は、自身の公式ツイッターで謝罪文を投稿した。
I am gratified by all the well-wishes. But… This video was made as part of an assignment in MED130. It is fake (many clues). The point of the assignment is to "go viral" in order to study viralness — especially as it plays on the emotions in the emotional medium of video. https://t.co/ouwPg3mpg6
— Andrew R. Cline PhD (@arcline) 2018年12月6日
みなさんが心配してくださってうれしいです。しかし…このビデオは講義の課題に対して作られたものなのです。フェイク動画です。課題は「SNSで拡散させる」こと。「拡散」というものを学ばせるためです。
人の感情を操作することがどれほど難しいか。
それを学ばせようとしたクライン氏のあては、残念ながら見事にはずれてしまったようだ。