路上の屋台でソーセージを売る男の再生の物語
中国・浙江省杭州市の屋台でソーセージを売る一人の男の物語が、中国の多くの人の胸を打っているようだ。
彼は以前は人もうらやむ大富豪だった。しかし17年前、事業に失敗し莫大な借金を抱えて会社は倒産した。53歳となった今、彼は路上で焼きソーセージを売りながら、少しでも借金を返済しようと懸命に働いているという。
この男性は唐 建さん。彼はかつて山東省青島市の飲食業界で活躍していた著名な人物で「唐の老中庭」「大唐漁人宴」「蘭園酒場」などのレストランチェーンを次々と設立し、大繁盛していた。彼は浙江省でも屈指の成功したビジネスマンの一人とみなされていたそうだ。
36歳の時、その月収は300万元(約約5,817万円)にも達していた。
だが2005年頃、唐さんは全く新しい事業分野(造園事業)に巨額資金を投入することを決意する。唐さんはこの事業が自分のレストラン事業を超えると確信していて、反対する周りの声には全く耳を貸さなかったそうだ。そして、自分の間違いに気づいたときにはすでに遅かった。造園事業で抱えた負債は、レストランチェーンも家も車も売却しても賄いきれなかった。最終的には唐さん個人が4600万元(約8億9,202万円)もの借金を抱えることになった。
その後は苦しい借金返済生活を長年続け、その間もいくつかのビジネスに失敗した彼は、一時は山に籠って自殺することも考えたという。しかし、彼には高齢の母親と2人の子供がいて、多くの債権者が今も返済を待っている。
彼は不屈の闘志で再び立ち上がり、自身の原点に立ち返って質の高い食品を販売することを志した。
再び立ち上がる姿勢が人々の胸を打つ
もちろん、新しいレストランを開く資金などない。母親の助力を得、彼女の作ったソーセージを売る屋台を立ち上げた。唐さんは、「このささやかな事業が借金を返済するのに役立つと確信している」と取材に答え前向きに語っている。
路上で焼きソーセージを売る彼の姿とその再生の物語は、中国の人々の心を打ったようだ。唐さんのストーリーと彼の屋台を写した動画は、今月初めに中国で拡散され、多くの人が唐さんの前向きな姿勢に鼓舞されたようだ。
現在も唐さんは17年前の借金を返済し続けている。しかし、最近のインタビューで、唐さんははこう語った。
「私たちは何も持たずに生まれてくる。もう一度やり直すことを恐れてはいけない、と私は考え直した。冷静に困難に立ち向かい、勇気を持って前進することをこれからも学び続けたいと思っている」