インドネシア・バリ島の聖なる山で下半身をむき出しにしたロシア人観光客が国外追放となる

カルチャー

山には神が宿っている、と考える“山岳信仰”は日本のみならず山や自然と関わりの深い民族の多くが抱いている自然崇拝の感情である。ここインドネシア・バリ島の最高峰(標高3,014m)アグン山も古くからヒンドゥー教徒の神々の故郷として崇められてきた。

今月下旬、この聖地アグン山を登ったロシア人観光客に対し、インドネシア当局が強制国外退去を命じたとして話題となっている。“ユーリ”と名乗るこの男は、聖なる山の山頂でパンツを下ろし下半身を露出した写真を撮ったという。その画像はネット上で拡散され物議を醸している。

この写真は3月29日にBBCニュースなどの報道機関が報じたもの。ユーリ氏は聖なる山を下半身で愛でただけでなく、そもそも許可が必要な地域に無許可で立ち入っているという。彼がInstagramにその自撮り写真を公開したところ非難が殺到した。

ユーリ氏はこの問題を鎮めるべく、Instagramから即刻写真を削除し謝罪したものの、インドネシア当局はユーリ氏に即刻国外への退去を命じ、かつ少なくとも6ヶ月間の再入国が禁止されることになった。

この措置を受けて、ユーリ氏はさらに謝罪動画をInstagramに掲載し、山を冒涜したことを認めた。動画内で彼は、

“私の行為に弁解の余地はない。現地の宗教・文化への無知から生まれた行為で誠に申し訳なかった”

と真摯に述べているようだ。

アグン山はヒンドゥー教のシヴァ神の象徴であり、怒ると火山の噴火で島を破壊してしまうという言い伝えもあるという。ユーリ氏は神々への供物代を支払う用意もあると付け加え、事態の収拾を切望しているそうだ。

地元ニュースメディア「バリ・サン」は、このユーリ氏がインドネシアに将来的に短期間滞在することを許可され、”モデル観光客となることで善行を促進する積極的な役割を果たすことを切望する”と伝えている。

昨今、バリ島当局は外国人観光客による無知・無法な振る舞いに対し、強制送還や刑務所行きを警告するなど積極的に取り締まっている。昨年にはカナダ人俳優が聖地バトゥール山で裸で戯れる動画を投稿し、こちらもインドネシアから追放された。

ここ数年のコロナ禍による観光控えも最近は緩み、世界的に観光地は以前の活況を取り戻しつつあるようだ。だからと言って現地の宗教・文化風習を軽んじてよい訳はない。インドネシア当局の厳然たる処分には賛意を送りたいところだ。しかしこのユーリ氏、なぜ山頂でこんな事をしようと思ったんでしょうかね?

参照元:New York Posttwitter

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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