ロシアで母乳を使ったカフェメニュー!?
みなさんもご存知の通り、レストランやカフェでは新たな顧客を得るために常に新しいプロモーション活動をおこなっている。そんななか、ロシアの都市ペルミにあるカフェチェーン店『コーヒースマイル』がちょっぴり変わった意向を発表し、先週から国内で話題となっているという。
それは、ラテやカプチーノなどのメニューに本物の人間の母乳を使用するというものだ。
5月上旬、この広告がネット上で共有され話題になると、地元の実業家でコーヒースマイルのオーナーでもあるマキシム・コベレフ氏は、同カフェでは薬局用の特別な袋に入れた本物の母乳を使用すると主張するプロモーションビデオを公開したのである。
動画のなかで、母乳を提供しているというこの女性はこう話している。
美容師をしていますが最近産休に入りました。赤ちゃんは少ししか飲まないので、それなら余分にある母乳でお小遣い稼ぎをしようと思いました。育児をしながら髪の毛をカットすることは難しいですからね。夫のために母乳を使ったコーヒーを淹れてあげたら喜んでくれましたよ。
また、コベレフ氏によると、母乳を提供する母親は全員、製品を安全に飲むための検査を受けていること、母乳入り飲料は当初40~45回分しか提供しないが、年末までに約1,000回分まで増産する予定であることまで明言した。また、1杯の価格は650ルーブル(約8ドル)に設定するという。
安価で効果のあるデマ広告だった
情報が広く拡散されると、地元当局がこの件について調査をはじめるとともに、食品安全当局「Rospotrebnadzor」が関与することを約束した。また、地元の代理人が、母乳入りのコーヒー飲料に興味があるかどうかを尋ねたところ、回答者の46%が「全くない」と答え、23%が「試してみたい」という投票結果が出たそうだ。
このコーヒースマイル問題はロシア国内で大きなニュースとなったが、これに驚いたのはコべレフ氏だ。反響の大きさから食品安全当局の介入が避けられなくなってしまったことを受け、コべレフ氏は、今回のプロモーションはデマであり、母乳を原材料として使うつもりはなかったと語った。安価で効果のあるプロモーションを考えていたときに、母乳育児をする若い母親が会社の会議に出席していたことに目をつけ今回のプロモーションを思いついたというわけだ。
自分のデマ広告が、まさかここまで拡散され話題になるとは想像もしていなかったというコべレフ氏は、のちのプレスリリースでこう述べている。
実際、母乳入りコーヒーの調理や販売はしていません。このニュースが話題になると、人々がやってきて母乳入りのコーヒーが飲みたいと大真面目に尋ねましたが、当店では販売していないことを説明しました。このコーヒーを飲んでみたいという友人もたくさんいたので、ヤギのミルクとアーモンドのミルクを混ぜた飲み物を用意しました。味はとても似ていますよ。2人の子どもの父親として、私も本物を味わったことがあるのでわかります。実際、母乳をコーヒーに使用するのは違法なのでやってはいませんがね。
ここまで話題になったことでマーケティングとしては成功だったということだろうか。しかし、実際に母乳入りメニューを試してみたいという人が一定数存在していたのは、ある意味、今後のビジネスにつながる新しい発見だったのかもしれない。