命がけでチーズを追いかける!意味わからないけど何となく楽しい奇祭が今年も開催!!
暑くなってきて、飲んで騒いで大はしゃぎしたい季節がやってきた。人間には、変わらない日常とパーッと遊べる日がないといけない。メリハリがあってこそ楽しい生き方ができるというものだ。
そんなはっちゃけるのを許してくれるイベントというのがお祭りである。
その多くは五穀豊穣を願ったり、宗教的な行事として楽しむものだが、本来の意味や起源は忘れ去られ、よくわからない伝統だけが残ってるお祭りも世界に点在している。
その最たるものが、今回取り上げる「チーズ転がし祭」だ!!
チーズ転がし祭って何のためにやってるんだよ!!
▲画像は2013年のお祭りの様子。右下男性の頭の横、小さく映ってる白いものがチーズ(wikipedia)
日テレ系列で放送中の「世界の果てまでイッテQ!」でも話題になったお祭りなので、ご存知の方もいるだろうが、ここで詳しくご紹介しよう。
チーズ転がし祭り(The Cooper’s Hill Cheese-Rolling and Wake)は、イギリス・コッツウォルズにあるグロスターで開催される、春のお祭りである。
この祭りは少なくとも200年以上の歴史を持つといわれているが、起源について正確な情報は残っていない。つまり、楽しいからみんなが何となく続けてきたような雰囲気なのだろう。
一方でこれほど古い歴史を持つと、「後継者がいない・・・」という理由で困っていたりするのはよく聞く。しかし、このお祭りだけは例外だった。メディアやネットで「クレイジーだ!」と紹介され知名度が上がっていき、年々参加者は増加していったという。2009年には15000人の観客が押し寄せた。
だが、5000人分のキャパシティしか備えておらず整備もされていない会場だったせいで、安全上の問題から2010年は開催を中止することとなったのだ。
翌年から、それまで無料だったお祭りに約2850円(20ポンド)の参加費を設け再出発しようとしたが、今度は運営メンバーが嫌がらせを受けたり、命を脅かす脅迫状が届いたりする大変な事態となり、委員会は2011年の開催を断念した。
しかし熱心なファンたちが勝手に集まり、2011年はついに管理者なしで行われたという。開催の経緯までクレイジーそのものである。
怪我しないわけがねぇ!危険すぎるチーズ転がしルール
▲画像は2006年のもの。ダブルグロスターチーズを持ちご満悦な司会者(wikipedia)
チーズ転がし祭りは、この村の名産品であるダブルグロスターチーズが用いられる。上の画像の司会者がもつ大きな丸いチーズだ。
これを崖の上から転がされ、一秒後に参加者が坂道を駆け下り、ゴールを最初に超えた者がチーズの獲得者となる。チーズの転がり落ちる速度は最高時速112キロにも及び、ふもとで待っている観客をなぎ倒すほどの勢いを持つという。
5レースが開催され、1度に20名がスタートする。(うち1回は女性部門)合間には丘を駆け上がるレースも行われている。
約180メートルを転がり落ちるので、非常に危険なお祭りといえるだろう。
▲今年の開催の様子。走るより高速で転がり落ちるような感覚に近い。
この転がりっぷりを見ればわかるだろうが、毎年負傷者が続出しており、過去には死者もでたというウワサもある。コースの下には救急車が控えており、けが人が出たらすぐに病院に搬送できるようにしてある。
完全にけが人が出ること前提で計画されている。これに勝った男は、きっと勇猛果敢ともてはやされるか、ただのアホと言われるにちがいない。
2017年、坂を転がり見事チーズを手にしたのは!?
そして先日の5月29日、アメリカでは世界的カーレースが注目されていた中、イギリスの田舎町ではチーズ転がし祭が開催された。アメリカではタイヤが転がり、イギリスではチーズと人が転がっていたのである。
今年優勝したのは、クリス・アンダーソンさんという29歳の男性だ。男性部門の4つのレース中3つも勝利したという。チーズの味より、勝利の味を楽しみたいタイプだろう。
女性部門では、18歳のキービー・モーガンさんが優勝。なんと2015年もチーズをゲットし優勝しており、今回が2回目の優勝となる。
去年にはアメリカ人、2013年には日本人が優勝したこともあり、国際色も豊かになっている。世界の果てまでイッテQ!の番組内でも、芸人の宮川大輔さんが2位にランクインしたこともある。
でも、優勝争い以上に、楽しむのがお祭りの醍醐味だ。コスプレをして崖を転がり落ちようとする参加者も多い。
恐竜のコスプレもバリバリになるほどのすさまじい傾斜である。
▲動画で振り返る今年の転がりっぷり。もはやチーズを追うより転がるだけの大会に見えている。
転がり落ちててもどこか笑顔があふれている。彼らはチーズを狙う狩人というより、泥んこになって遊びまわる子供である。
年長者が義務感をもって継続していくのもいいが、起源とか形式とかどうでもいいけど、楽しいから続けるんだ!というほうが、正しいお祭りの継承だとは思わないだろうか?