海外では文化の盗用が度々話題になる。文化の盗用とは、ある文化圏の慣習や衣装などを他の文化圏の人が無断で使用することだ。edamame.でも過去に、日本文化の盗用だと非難された少女を紹介した。
現在、有名ファッションブランドディオールが、文化の盗用をしたとして非難されている。
ディオール(Dior)とビホル(Bihor)
ディオールがデザインを盗用したというのは、ルーマニアのビホルという地域の民族衣装だ。一度そのデザインを見ていただきたい。
左:ディオール、右:ビホルの民族衣装
確かに似ている。しかし、ビホルの衣装を参考にしているということは明言されておらず、またビホルのコミュニティに売上金の一部が送られるというようなこともない。
この状況に待ったをかけたのは、ビューモンドという雑誌である。ディオールの盗用行為に対して、新しいブランドを立ち上げ、ビホルの伝統衣装を販売するという方法をとったのだ!
ビホルの文化が死んでしまう
ビューモンドは現地の職人と協力し、ビホルの伝統衣装を製作し、ビホルクチュールというブランド名でウェブサイトを通じて販売するという方法をとっている。
さらに、ビホルクチュールの製品はディオールのものに比べて圧倒的に安い。ディオールの数十分の一という驚異の値段である。
ビホルクチュールは公式サイトで、「ビホルの文化を利用しておきながら、ディーオルは(ビホルの文化を)紹介すらしない。このままでは我々の文化は死んでしまう。」と述べている。
確かに、チャイナドレスのような有名なものならば見る側も「チャイナドレスをベースにしている」ということがわかるが、今回のようにあまりメジャーではない衣装がベースにされている場合、多くの人が気付かないだろう。それどころか、ディオールのデザインを盗用したと勘違いされることもあるかもしれない。
デザイナーは色々なところから、アイデアの原型を探し続けなければならない。しかし、それが文化の盗用を正当化する理由にはならない。ディオール側の対応が待たれる。
こちらはビホルクチュールの紹介動画(全編英語)。