ホームレス男性の生活をかえた一杯のコーヒー。
これはイングランドの都市・チェスターでの出来事だ。人生が変わったホームレス男性の名前はデヴィッド。彼は長い間ホームレスとして過ごし、路上でだらしなく寝泊まりすることが当たり前となっていた。しかし、そんな彼の人生を一杯のコーヒーが変えた。
訪れるホームレスへコーヒーをプレゼントするチャリティー
イングランドやアメリカ、オーストラリア、ノルウェーなどにあるカフェが加盟している「Suspended Coffee（サスペンディッド・コーヒー）」という慈善活動がある。その加盟店に訪れたとき、コーヒー一杯分の料金を余分に払うことで訪れたホームレスにコーヒーを無料で提供できるチャリティーだ。
デヴィッドは12か月前、無料で与えられるコーヒーを求めカフェに向かい、誰とも知らない人が代金を支払ってくれた「恩」の詰まったコーヒーと近所のスーパーから寄付されたサンドイッチをもらった。このことをきっかけにデヴィッドはチェスター市内でホームレスのケアを行っている「Chester Aid to the Homeless（チェスター・エイド・トゥー・ザ・ホームレス）」の支援を受けることとなった。
チェスターエイドトゥーザホームレスは彼の生活を変える手伝いをした。そのおかげで現在デヴィッドは12か月前と見違えるような姿となっている。
どうだろう、この変わりよう！つい12か月前までは路上で生活し、一杯のコーヒーを貰うためにカフェを訪れていた彼が清潔感の溢れる姿でスーツを身にまとっている。ホームレスをしている人だってきっかけや助けがあれば誰だって、ごく当たり前の生活に戻ることが出来るのだ。
彼は支援のおかげで職に就くことができ、輝ける未来への一歩を踏み出したという。
保留コーヒーの始まりはエスプレッソの聖地・ナポリから！
ホームレスのための『保留コーヒー』が始まったのはエスプレッソの聖地、ナポリから。イタリア人は大のコーヒー好きで有名である。朝起きてコーヒー、仕事前にエスプレッソで気合を入れて、仕事後にも癒されるために一杯。このように多くのイタリア人がコーヒーなしでは生きれない生活を送っている。
そんな文化もあってか、ナポリでホームレスのために保留コーヒーを提供する風習が始まったのだ。この思いやりのつまった風習はナポリから世界に広まり、今ではコーヒーの他にもサンドイッチなどの食事も保留できるカフェもあるそう。
English follows.
＊この物語は、寒い冬の日に飲む一杯のコーヒーのように
あなたの心を暖めてくれるでしょうある日私と友人は、小さなコーヒーハウスに入り、
それぞれコーヒーを注文した。テーブルにつこうとすると、二人の…
恩返しならぬ、恩を送る保留コーヒー。思いやりがたくさん詰まったコーヒーを飲んでホームレスが目を覚まし、きちんとした生活が出来るようになれば、なお素晴らしい。物乞いをしているホームレスへ、どうしてあえてお金ではなくコーヒーや食べ物を提供するのかというと、お金を渡すとドラッグや酒を買うのに使い、生活が良い方向に変わることがないからなのだという。なるほどな～
日本に保留コーヒーの文化があったらどう思う？
サスペンディッドコーヒー、ホームレスのために保留されたコーヒーだが日本にこの文化は馴染むだろうか？
正直なところ、私はあまり賛同できない…。衛生的なことを考えると自分がくつろいでいるカフェにホームレスが入ってきて欲しいとは思えないからだ。この活動自体を否定する気は毛頭ないが、日本人には私と同じような考えの人が少なくないのではないかと思う。
募金やチャリティーの一環としてホームレスが支援を受けるのはいいと思うし、思いやりにあふれた行動をする人たちには拍手喝采だが、ごく一般的な生活をする人の空間にホームレスがいきなり入ってくると嫌悪感を示す人もいるのも現実だろう。提供の方法が来店するというかたちではなく、ホームレスが過ごす場所へ提供するコーヒー代を贈るならアリだとは思う。
思いやりのかたちは人それぞれだから賛同したからえらいとか、賛同しないからえらくないとかはないが、とにかく一人でも多くの人がたった一杯のコーヒーだけでなく、満たされた生活が送れるようになればいいと思うのであった。
