軽い気持ちの「いたずら」が「悲劇」へ
ソーシャル・ネットワーキング・システム、通称SNS。
登場した当初は、世界中の知らない人とやりとりができる、同じ趣味を共有する人と簡単に繋がることができるなど、画期的なサービスとして誰もが夢中になっていた。
フェイスブックさんの投稿 2015年3月25日
しかし、SNSが私たちの日常に定着するにつれ、「いいね」や「リツイート」を稼ごうと、ツイッターで犯罪自慢をする「バカッター」が現れたり、教師や親の目の届かないSNS上でクラスメイトへの悪口やイジメを行い、それが原因で子供が自殺をするという事件が多発し、日本では度々社会問題となってきた。
そんな中、アメリカでも先日、SNS上で軽い気持ちで行った「いたずら」が取り返しのつかない「悲劇」へ変わってしまったとニュースメディアが報じている。
人気者の突然の自殺…
2017年3月14日、米・ミシガン州に住む11歳の少年、タイセン・ベンツくんが首を吊っているところを母親のカトリーナ・ゴスさんが発見した。発見後、すぐにタイセンくんは病院に搬送された。カトリーナさんや友人は彼の回復を祈ったが、その願いもむなしく、数週間たった4月4日、生命維持装置は取り外され、彼は天国へ旅立ってしまった。
Katrina Gossさんの投稿 2017年3月16日
カトリーナさんはタイセンくんについて次のように語っている。
「タイセンはとても素晴らしい子供だったわ。彼は運動が得意で、社交的だった。友達だって数えきれないほどいたわ。タイセンを知ってる人たちみんな彼を愛していたわ。」
彼女の言葉から分かるように、タイセンくんはかなりの人気者で、イジメが原因で自殺をしたとは考えられない。
では、なぜ彼は自ら命を絶ってしまったのか、その原因は親に黙って付き合っていたタイセンくんの2歳上の彼女にあったようだ。
「彼女が死んだ…」
タイセンくんの彼女はある日、彼に「いたずら」を仕掛けようとたくらんだ。そのいたずらの内容は、「タイセンくんの彼女が自殺した」と、彼女が友人にSNSへ投稿させるというものだった。もちろん実際に自殺はしていない。しかし、カトリーナさんに黙って買ったというスマホで、その投稿を見たタイセンくんはそれを信じてしまい、
「僕も自殺する。」
と言い、自らも命を絶つという決断に至ってしまったのだ。
カトリーナさんはこのことに対し、
「私はかなり怒っている。確かに彼女たちは若い。でも13歳なら、完全に自分たちがやることは何なのか、何が良いことなのか、悪いことなのか分かっているはずだ。この事件は、軽く扱われるべきではない。彼女はそれ相応の法的責任を受けるべきだ。」
と語っている。
タイセンくんの彼女はまだ未成年であるが、もし告訴され、罪が十分深刻であると判断されれば、彼女が大人として裁かれる可能性は大いにあるようだ。(大人の場合、罪に対しての罰を言い渡し、未成年は社会復帰できるようリハビリを行う。)
こんな事件はもう繰り返さない
なぜ彼女がこんな「いたずら」を仕掛けようと思ったのか、その理由は分かっていないが、彼女もまさかこんなことになるとは思いもしなかっただろう。
しかし、タイソンくんのまだ純粋な心を弄んだ彼女に非があることは間違いない。
カトリーナさんは、このような事件をもう繰り返さないために、
「親たちは、子供たちがどのようにスマホを使っているか、誰とやりとりしているか、どのくらい使っているか、常に監視しなければならない。いざとなったら勇気を出してスマホを取り上げるべき。」
と述べている。
今やSNSへの投稿ひとつで、犯罪や自殺をもたらしてしまう時代。今回のような悲劇を起こさないためには、確かに私たち大人が子供のスマホ、SNSの使い方について考え直す必要があるのかもしれない。