世界一の「スリ師」
人が気付かないうちに物を盗む「スリ」。もしもあなたがどんな人からでも物を盗めるスリの達人だとしたら?例えば目の前にいる人からでも、自分を警戒している人からでも、物を盗られるとわかっている人からでも物を盗めるとしたら?大半の人は「そんなことできるわけがないよ」と思うだろう。
「人の注意を完璧に操ることができればそれは超能力でしょう。」と語るのは世界一のスリ師と称されるアポロ・ロビンス氏。彼はスリを通して人の行動を研究してきた。
そんな彼の驚愕のパフォーマンスを今回は紹介しよう。
目の前のものほど認識されない
彼はパフォーマンスの冒頭でこんなことを言った。「あなたの携帯電話の右下のアイコンを思い出せますか?」
…そういわれてみればちゃんと思い出せない。いつも見ているはずなのに。読者の皆さんも確認して欲しい。当たっていた人はいただろうか。
また彼は「目を閉じて。私の服装を思い出せますか?」と観客に問いかける。画像を見ることなく答えられた人はどれくらいだろうか。既に2回ほど彼の写真を目にしているはずだが…
「注意」の仕組み
彼が言うには、注意のシステムは簡単で、脳の中に人がいるイメージらしい。
脳の中の人は「財布はある?」「クレジットカードは?」など記憶の確認をしている際には、新しい情報を処理できない。これを利用して、アポロ氏は注意を向ける方向を操作しているという。
前置きが少し長くなったが、実際の彼の注意を利用したパフォーマンスを見ていただこう。
動画は参加者のおじさんが選ばれるところから始まる。
アポロ氏はおじさんに「手の平の上のチップを見張るように」と伝えた。さすがにこんな状態では盗まれることはないだろうと思いきや…
気付けば肩の上に!!いつの間に!?
次は腕時計が盗まれている!!しかもこれだけにとどまらず…
おじさんの持っていたお金も盗ってしまう。おそるべし…
圧巻のパフォーマンスである。参加者のおじさんはかなり警戒していたはずなのにまったく気付いていなかったし、私たち視聴者もいつ盗ったのか気付かなかった人がほとんどだろう。
注意を操ることができればどんな人からもスリができるというのか。ここまでの技術を習得するのは容易ではないだろうが…少し怖い。
そして、彼のパフォーマンスはこんな形で締めくくられていた。
「私の服装は?」
…一本取られた!!