岩に描かれた絵
太古から人類は絵を描いていた。エジプトの壁画をはじめ、数千年前の各地の遺跡で壁画が見つかっている。特に岩石や洞窟の内部に描かれたものは、ペトログリフと呼ばれる。
アメリカ・アリゾナ州の渓谷にも大規模なペトログリフが存在する。
▲アリゾナ州のペトログリフ。
▲かなりの大きさ。
このペトログリフは900年前に原住民によって描かれたと考えられているが、長い間、その目的や内容は不明であった。
そして先日、ようやくこの壁画の意味が解明され話題になった。この壁画は…実はカレンダーだったのだ!
影を利用
研究者のケネス・ゾールさんの話によると、あるペトログリフの上部にある2つの石に、太陽の日が当たってできる影が利用されているそうだ。
▲これも特定の日付を指し示しているのだろうか。
例えば、夏至には影がある6つの絵を指し示し、冬至には2つの岩の間から直接、太陽の日が入り、ペトログリフを照らす。
また、この壁画を描いたとされるシナワ族の血を引く、ポピ族の1人の話によると、このカレンダーは農業や宗教的なイベントに関連しているようだ。
ポピ族が種をまく4月21日には、影がとうもろこしの茎(と見られる)絵を指し示す。さらに7月8日には、太陽が踊っている人の絵を照らし出す。この日はホピ族が16日間行う祈りと瞑想の最終日だそうだ。
他にも、実は遺跡がカレンダーのような役割を兼ね備えていたということはまれにある。日付を把握するということは、自然とともに暮らしていた時代だからこそ重要だったのだろう。
かつての人々の生活や文化を現代に伝えてくれる遺跡は貴重だ。これからも謎が解明されていくことを期待したい。
参照元:BBC、Daily Mail